日本酒大好きな私です。
しかも山口の酒。
「五橋」も有名な岩国の酒です。
防府、宇部出身の私としては、やはり「貴」「東洋美人」「男山」が贔屓ですが、「獺祭」さんは私も昔から大好きでした。
日本酒ビギナーの女性に、
「獺祭はねえ、「かわうそ祭り」のことなんだよ」というお決まりのレクチャーはしばらくしていませんが(笑)。
それはさておき、
「山口の小さな酒蔵」を売りにしている割には、
実は弊社オフィスのある神田、日本橋界隈には、
「獺祭あります」の大暖簾付居酒屋の多いこと、多いこと。
徒歩3分以内に6軒あります(笑)。
それだけ獺祭はメジャーになったんだなあと思うのですが、
その割には値崩れしていない。
「小さな酒蔵なのに、琥珀ヱビス以上の普及率じゃん」と思わず突っ込みを入れたくなったりしますが・・。
先日、京橋の「獺祭Bar」にもお邪魔しましたが、
「日本酒と和食」ブランドを世界に発信する拠点としたいそうです。
そういえば岩国空港開港を機に、ANAの公式機内飲料にもなりました。
ものすごく筋の通った、洗練されたマーケティングです。
価格も焼酎の「魔王」や「森伊蔵」みたいなとんでもないプレミアを打ち出しているわけでもない。
このあたりも実に好ましいのですが、
でも小さな酒蔵を打ち出す割には、やたらと目に付くので、
どうなっているのかしらん??なんとも絶妙なポジショニングです。
酒蔵というのは基本的には生産量が決まっていて、従来のマーケティングのセオリーは希少価値をもって、1本いくらという価値を引き上げるものでした。
かつての「久保田」や「十四代」あたりは、もともとは高くない実に庶民的なお酒だったのですが、いつころか「十四代」の「カローラ」と言われた「本丸」なども本来は一升瓶で2000円弱だったのが、1杯1000円くらいとるようなお店が出てきました。
「十四代」さんは取材させていただいたこともあるので、フォローしますと、十四代のプレミアムをつけているのは「卸」と「店舗」なんですよね。そこに業界専門メディアがお墨付きを与える。
十五代目にあたる若手経営者は、その状況は好ましく思っていないようでした。
それでも都内の良心的な居酒屋は「本丸」を適正な価格で売っていて、店主もそういった「マスメディア」を絡めた戦略に辟易していました。まあだいぶんこの業界トライアングルの神通力は薄れているようですが・・。
「プレミアムをつけるなら米や磨き方で。「本丸」というベーシックは本来だれでも気軽に飲める酒にしたい」というのが十五代目のポリシーでした。だから「カローラ」という表現を当時使ったわけです。ベーシックのレベルを引き上げていくことに最大の力を注いだわけです。
ちょっと脱線しましたが、ともすれば「プレミア」の罠に陥りがちな世界で、「獺祭」のブランドの作り方は、異論もあると思いますが、ユニークです。
「小さな酒蔵」であることベースにしつつも、ふつうの居酒屋さんがけっこう多く、「獺祭」を置いてあることを「売り」にでき、しかも値崩れしていない。マスメディアも使うけども、希少価値だけを「売り」にしない。
こういうポジションを維持することはけっこう大変だと思います。
そもそもネーミングが「ダサい」のにすごいですよね!
この「獺祭」マーケティング、ウォッチし続けたいですね。