月刊MD10月号本日発売です。随時読者の皆様にお届けいたします。
本号は恒例の「ドラッグストア白書」。
決算数値分析と独自のアンケートを組み合わせて、ドラッグストア各社のもっともリアルなマクロ分析を行っています。
フィールドワークに基づく、仮説、検証をモットーとする月刊MDですが、ときにはマクロ分析も不可欠です。
特集サブタイトルにもつけましたが、増益企業の多いドラッグストア各社ですが、既存店伸長率と損益分岐売上比率の悪化企業が増えてきています。
好調な数字の陰にある小さなアラームに気付き、既存店の陥穽を埋め、次世代のフォーマット(乗り物)をつくる・・そのヒント、材料、具体的方法を提示するのも月刊MDの務めと思います。
よく勘違いする人がいるのですが、商圏内のポジションはお客の購買動機とフォーマットで左右されます。フォーマットなくしてお客の購買動機を動かすことはできません。この2つの要素は不可分なのです。
時折、「商圏内ポジションはお客様が決める」という方がいるのですが、これは概念だけで実現の手立て(フォーマット)が抜けています。これは既存店しかそこには存在しないという大前提で成り立っており、現実の世界では通用しません。
さて、商圏のポジショニングを決定するフォーマットの多様化と進化を探るべく、本号ではコンビニ各社の実験もほかにはない分析材料を揃えています。
小商圏フォーマットは「ワンストップ性」と「コンビニエンス性」を兼ね備えた店舗です。そしてもうひとつ「プライス」の優位性も加味されます。
米国でもかつてのウォルマートが実践した「小さな町の大きな店舗」(スーパーストア化)だけではなく
「小さな町にたくさんある小さくても便利な店舗」も支持されています。
ですから3つのコンビニの実験店は、食品だけではなく非食品をいかに作り上げるかということにも力を注いでいます。
今後、小商圏フォーマットを語るときは、食品スーパー各社、まいばすけっと型の食品ミニスーパーが今後いかに「非食品」を組み合わせ、「ワンストップ性」と「コンビニエンス性」を現出させるかがテーマになるでしょう。
さらには、フォーマット論、つまり売り方、収益構造、商品構成と品ぞろえ、ロジスティクス、売場面積などの変更によって新たな競争軸が生まれてくるはずです。
イトーヨーカ堂さんがなぜセブンイレブンを導入したのか?
この最大の理由は、組織構造の転換にあるといいます。
つまり、ヨーカ堂的成功体験の枠をまったく外した競争軸の確立です。
言い換えれば、フォーマットは新たな組織、人材を作り直し、技術革新のゆりかごにもなります。
これは勝手な想像ですが、 ヤオコーさんやアークスさんのような食品SM界の雄が、300-400坪タイプの「非食品」(医薬品含む)を充実させたフォーマット開発を行ってくるという可能性も十分考えられます。
一時流行った、生鮮ディスカウントではなく、「ワンストップ性」と「コンビニエンス性」でもってドミナントを仕掛けられるフォーマット開発。
すでにヤオコーさんはキッチン雑貨や食器といった「食生活提案」カテゴリーにおいて「非食品」を増やした300坪タイプ店舗も作り上げています。
小商圏フォーマットの次の主役はいかに出現するか。
有難いことに先日も弊社セミナーにご参加いただいた企業の経営者、幹部、現場の方からも、本テーマについてとても熱い論議をうかがうことができました。
各社、そしてさまざまな層が、これらのテーマについて目的意識を共有し、目標もはっきりとさせています。
業界にこういう機運が高まることはとても嬉しいですね。
そしてそういう企業こそが、現在業績を伸ばしています。
流通に新たなムーヴメントを起こすことを期待しています。