両論併記の有識者会議の結果、政府は、OTC(処方箋のいらない一般医薬品)の99パーセント以上についてネット販売を認めるという方針です。

ドラッグストア業界が改正薬事法以来整備してきた資格者制度、対面販売のハード設計…いろいろな要素は事実上、意味をなさなくなります。

まあ、これについては、私も違う意見があるのですが、ここでは申し上げません。

未来を段階的に予測するとなれば、

まず、ネットもさることながら、コンビニ、スーパーマーケットのOTC参入が加速するでしょう。

これによって医薬品の高粗利率に依存し、ニューフォーマット開発を怠ってきたドラッグストアはしだいに厳しい局面に立たされるでしょう。

ネットやほか販売チャネルで売れる道筋ができれば、ゆくゆくはOTCだけではなく調剤も俎板に乗ることが想定されます。

調剤市場はOTCの約10倍です。

現在、この動きとは別に、ウェブ処方箋、電子カルテのインフラ整備が論議されています。

カルテと処方箋の一元化は、将来、調剤のメールオーダーを容易にします。

つまり、医者にかかり、処方箋を指定のかかりつけ薬局に送ってもらう。受け取りは、自宅でも最寄りの店舗でもよい訳ですが、

問題はどこに薬剤師が関与するかということです。

24時間薬剤師常駐のテレビ電話付きコールセンターがあれば、いざという時に相談できます。

アメリカではメールオーダーはふつうです。

こういう状況の中で、リアル店舗の価値、薬剤師の価値を追求しています。

もちろん、リテラシー問題があるので急速にスイッチすることはありませんが、そういうモデルは極めて低コストで組み立てられる時代になっているということです。

まあ、ここまでは、おそらく関係者の皆さんは想定済みでしょう。

日本は、既得権と組織の官僚化、制度設計能力の劣化でなかなか一足飛びには進まないでしょうが、

そういう中にあっても時代を見越して変化対応できるかどうか。これが今後の経営課題になると思われます。

いつまでも安全安心を担保にネットインフラの進化整備を否定することは困難でしょう。

医療財政の悪化がますますこれらの意識変革を要請します。

あらためて言いますが、小売業は変化対応業であることを今一度確認したいものです。



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