「田中角栄」は、前々職で第一秘書だった麓邦明氏の最晩年にお目にかかる機会があったので、角栄モノはたいてい読んでいる流れで。
朝日出身の著名コラムニストによるもので、さすがにうまくまとまっていたが、
日本列島改造論のベースとなった「都市政策大綱」にはたった一行のみの解説だったのでイマイチ感のほうが大きくなってしまった。
まあこのコラムニストは首相番記者で名を馳せた人なので、同じ秘書でも早坂氏のほうと通じているかんじが本から出ている。政策よりも政局やその後の権力系譜みたいなほうに興味があるんでしょうね。
麓邦明氏は角栄さんの無役時代に、共同通信記者から秘書に引き抜かれ、若手官僚から金融、商社の調査部、学会から優れた人材を選り抜き、都市政策大綱をまとめた影の功労者であることを知っているだけに、ちょっと残念。
「歴史の愉しみ方」は、同い年の歴史学者磯田道史氏の著書。映画にもなった「武士の家計簿」で一躍著名に。
この人のフィールドワークにはいつも感心させられる。見事な本。
経済モノは野口悠紀雄さんと三橋貴明さんのモノ。ともに数値、データで論拠を示す人たちだが、結論は逆。どうしてこうなるのだろうか。
私の悪い頭でなんとなく思い至るのは、
通貨発行権を持つ、政府はいくら借金があっても、しても破綻しないという前提がいかなる論拠で成り立つかというかということ。
そんな前提は成り立たないというのが野口氏、それが前提というのが三橋氏。ともに一理あるし、ともにデフレ下の増税は愚の骨頂という点は一致している。
いまの状況をみるに、三橋氏の慧眼は評価されるが果たして…。
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