入稿が一段落し、通勤移動時間に、吉田繁治先生のメルマガ「ビジネス知識源」をまとめ読みしていました。

近著「マネーの正体」など骨太のマクロ経済分析で最近は知られています。

安倍内閣の矢継ぎ早に出される経済対策に、なんとなく景気がよくなるのでは…と思ってしまうこの頃ですが、

吉田先生は、経済学の一大学派シカゴ大学の経済学部正門に掲げられているフリードマンの言葉「経済、それは数値である」を引き合いに出して、

アベノミクスのリスクに警告を発しています。

アベノミクスの基本ロジック、

政府財政を拡張し、

90年代のような公共投資を行い、

足りないマネーは、赤字国債を日銀に買わせて調達し、

ばらまいて、日本経済の再生を図るというものです。

私のような経済の門外漢でも、

ずいぶん古い時代のスキームプラス禁じ手をやるもんだなあと思っていたのですが、

吉田先生によれば、20年前の社会環境、経済状況を前提にしたロジックだそうです。

メルマガでは、丁寧にその理由を紐解いていきます。起点は、シンプルです。国債800兆円を含む政府負債1100兆円の存在が、マネー増刷リスクにどれだけ耐えられるかです。

現在の円安、株価上昇は、人々の「気」を盛り上げますが、国債金利は上昇です。安倍総理もここに関してトーンダウンです。

国債、マネー増刷以外で、わたしも素朴に疑問に感じたことがあります。

2パーセントのインフレ目標の意味です。

消費税があがり、物価があがる…世帯所得が下がり続けている中で、インフレを目標にする意味。

これは、商業の世界から考えるとまったく理解できないのです。

円安になって、輸出産業が復活し、大企業優先で景気が回復すれば、世帯収入はアップし、皆がお金をつかうようになる…。

リーマンショック前によく聞いたフレーズでした。

でも世帯収入は下がり続けました。

一部外資系の金融マン、株、IT長者の豪奢な暮らしぶりが喧伝されましたが、それで、GDPが上昇したとか、税収が増えたとか、世帯収入増加で、全体の個人消費が活性化したという話はあまり出てきませんでした。

むしろ、「デフレ=悪」というストーリーを強調し、流通の努力を否定しました。

その挙句が、企業の史上最高益続出後の金融危機。まさにキリギリス。こんなジェットコースターでは、遅行指標である末端の世帯収入の増加など望むべくもありません。

商人は江戸時代から為政者の政策に振り回され、ときに8割がつぶれるほどの憂き目にあいます。

しかし、その中から、為政者の政策に左右されない強靭な思想を持った本商人が誕生し、商業を発展させました。

漠然と古臭いスキーム感を感じていたアベノミクスの内容を吉田先生がわかりやすく解説してくださっていますが、

帰結はわかりません。

ただし、商人たるもの、数字でものを測り、先手をとる、はたまた後手の先をとる…この修練と才覚が不可欠です。しかし、そこには、世間のお金を大切に扱うという商人の社会的存在をより明確にすることが大切のように思います。

為政者の政策に翻弄されず、正しい商売を貫く。いまこそ、本商人の真価が問われると思います。



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