きょう、事務所においでいただいた方は、大手チェーンから地方の新興チェーンまで経営陣の一角を歴任し、いろいろ小売の本当の実務というものを教わった大先輩。

若い時、関東のエクセレントスーパーヤオコーの名誉会長の川野トモさん(故人、現会長、社長の御母堂)にも可愛がっていただいたそうで、

ちょっといいエピソードを伺いました。

川野トモさんが小学生のころ、ある先生が将来の夢をクラスで聞いたそうです。

男の子たちは、学者や政治家、パイロットなどらしい夢を語り、女の子からは先生、看護師などこれまたむかしの王道的職種が次々と発表されました。

そんななか、川野トモさんは、八百屋だった父親の背中をみていて、

「八百屋」

と答えたそうです。

クラスはどっと沸きましたが、

先生はこう言ったそうです。

「素晴らしい!どうせ八百屋をやるなら町一番、いや県一番の八百屋になれ」

後年、川野トモさんは、先生のあのときの一言が私を決定づけたといいます。

ご子息である川野幸夫会長は、東大法科で検事を目指していたそうですが、

母が一生懸命切り盛りしていたスーパーを継ぎました。

会長も社長もまた母の背中を見て、志をたてた素晴らしい経営者です。

川野会長は、自分は小売のことはよく知らないので教えてほしいと、現場のパートアルバイトさんたちにいつも学びに行ったそうです。

ヤオコーの誇るボトムアップ経営は、スーパーマーケット企業トップクラスの業績を実現しています。

先生のなにげない一言は、子どもにとって計り知れない影響を持つものですね。

これは先生に限りません。人生に現れる様々なメンターの一言で人は火がつくものです。

大切なことは、送り手と受け手がピュアであることでしょう。

ことばの裏を読み合うような関係では成立しません。

その意味でも、子どものときに出会った言葉は宝物なのです。





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