松岡正剛さんのことばをかりるなら、

「人はすべて編集しながら生きている」

のであり、

ソーシャルネットワークの時代であれば、ブログ、Facebook、Twitterにいたるまで、個人が発する情報はすべて編集されている。

つまり、どんな立ち位置であれ、情報を発する人は等しく編集者なのである。

わたしも流通専門経営誌というきわめて端っこのほうでぱらぱらと情報を発信しているメディアの編集者にすぎないが駆け出しのころから、この人の流儀にはいつも学びたいと思っている。

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幻冬舎社長の見城徹氏。

いわずと知れたカリスマ編集者であり、出版界の異端児。

サイバーエージェントの藤田晋氏とは二冊目の共著だが、

やはり見城氏の文章を一通り一読してから、藤田氏の文章にうつる。

藤田氏の文章が面白くないからではない。むしろ比較すれば、いろんな挫折を経てこの世界ではリーディングカンパニーであり続けるかれの見識は素晴らしい。なによりもこんな勝手なことを書ける場があるのもかれのおかげだ。

でもやはり見城氏の迫力が勝る。

わたしはかれの著作なら大抵読んでいるので、引用のエピソードもだいたいは知っている。それでも都度新しい発見があるのは、小さなフィールドではあるけれど編集者としてキャリアを積み、ぶち当たる壁のレベルが少しずつだが上がってきているのだろうと勝手に思い込んでいる。

先日読んだユニクロの柳井さんの『現実を視よ』にでてくるサブタイトルも、見城さんのこの本にでてくるサブタイトルと共通項が多い。

「ヒットしているものはすべて正しい」

「総取りでなければ生き残れない」

マス嫌いの御仁には、キライな言葉だろうが、やはり、わたしにはしっくりくる。

たぶんわたしも、

かれらには及ぶべくもないが、

なにかひとつ突き出ることによって、なんらかの影響を世の中に与えたいという性分なのかもしれない。

もうひとつは、「欲」だ。

だれにどう言われようと「こうありたい」「こうせねばならない」と止むに止まれぬ衝動を持つ人こそ、社会のイノベーターたりうる。

柳井さんよろしく、わたしも「求めない」「がんばらない」生き方は宗教の世界において体系があればよいと思っている。いつかはその体系に頼るときもあるだろう。

さて、

十数年前、見城氏が独立したとき、ある雑誌のインタビューに出ていた4つのフレーズをいまでも手帳に貼っている。

これは、いまだに私の雑誌づくりの基本方針だ。

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1.オリジナリティ

2.明解

3.極端

4.癒着

これが売れるコンテンツの4条件。

1.2.はどこでも言われることであるが、方法論の開発は不断の努力を要するだろう。

3.4.はよほど考え抜き、リスクを負わねばならないことだ。

3.4.ができないものは、バランスをとり、万人受けを得ようとする。

これは実は市場で埋没していくだけだ。

『現実を視よ』のなかで柳井さんが、iPhoneの表のボタンがなぜひとつしかなく、しかも凹んでいるのかということについて言及していたが、まさに、1.2.を踏まえた究極の3である。

4はビジネスのうえでは現状欠かせない推進力だ。

見城氏は尾崎豊もつかこうへいもこれと思ったコンテンツはかれらが一番苦しい時代に独占契約を結んだ。

これこそが目利きのなせるワザである。そのかわり、惚れたコンテンツには全身全霊をつくす。

この4条件は、シンプルだけど、深い。まだまだわたしは理解も掘り下げ方も甘い。













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