本日、月刊MDの対談企画にも出ていただいた名古屋市立大薬学部教授の鈴木匡先生の取材にうかがいました。

きょうは薬学三年生向けに、医療経済の特別講座があり、講師は月刊MDの愛読者でもある杏林堂薬局の渥美社長が務められました。

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未来の薬剤師は、

スペシャリストでありながらジェネラリストでなければならない、

また、

サイエンティストでありながら、ビジネスマン、ビジネスウーマンでなければならない…


という鈴木先生のポリシーの元、渥美社長からはそれこそ商品利益から店舗の損益分岐点まで実にリアルなビジネスのお話が語られました。

薬剤師の職能を開発し、職域を広げて行こうという取り組みは、薬局からドラッグストア調剤までひろく行われていますが、

それらのベースになるものは、地域密着のリアルビジネスである…

鈴木先生と渥美社長の素晴らしいコラボが成せる授業でした。

授業後は、鈴木先生と五年生の外ノ池文乃さんに六年制薬学教育のリアルをインタビューさせていただきました。

外ノ池さんは、病院実習の真っ最中。でも近所のドラッグストアでもアルバイトしており、

専門性と身近な相談窓口というふたつの異なる特徴とそれぞれに持つ素晴らしさを肌に感じています。

ドラッグストアでは、大学の研究の一環で、「ヘモグロビンA1C」(潜在的な糖尿病予備軍をチェックする指標のひとつ)の店頭セルフチェックを実施し、普段なかなか健康チェックを受ける機会が少ない主婦の皆さんから喜ばれたことが、薬剤師をなぜ目指すのかというモチベーション強化につながったそうです。

「視野が広く、好奇心旺盛、いろんな可能性があるなかで一番好きなことを選んでほしい」

鈴木先生は愛弟子にこんなアドバイスを送っていました。

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お二人の話は多岐におよび、詳細は月刊MD12月にて掲載しますが、ふたつばかり心に響いたフレーズを。

「チーム医療が、地域医療を支える重要な機能であるなら、ビジネスやマネジメントそのもの、そしてそこではたらく一人ひとりもチーム医療の立派なメンバー」

サイエンスとビジネスの両輪こそが、地域医療、さらには社会貢献につながるという確固たるポリシーを持つ鈴木先生ならではの言葉だなと深く感じ入りました。

もう一つ、

「生活コストを下げるという機能とQOL(クオリティオブライフ)を上げるというふたつの機能を併せ持つのがドラッグストア。後者にももっと大胆に斬り込んでほしい」

これは、まったく同感です。前者も大切な社会機能ですが、後者は、店頭における健康情報ナビ機能の高度化というテーマを含んでいます。

後者の方法論開発のためには、ドラッグストア自身が機能高度化(モニタリング、在宅チーム医療への参画、学術研究発信など)を果たした薬剤師のキャリアに対しインセンティブを効かせた新しい評価体系をつくることも必要だと鈴木先生は提言します。

この話を受けて、

「スタバみたいにエプロンがかわるといいですよね」

と、外ノ池さん。

そうです。こういう発想がとても大事なんです。

内向きの評価体系整備はもちろんですが、それをお客様に伝える、関心をもってもらうということはじつはとても大切だと思います。

六年制薬剤師は、この厳しい経済環境にあって引く手数多。就職には困りません。

ですが、その中にあってほんとうのやりがい、生きがいを求めて「薬剤師」とはなにか?と本質を問う学生も増えています。

そういう高いレベルの学生さんの受け皿はじつは少ないのが現実です。

ドラッグストアも薬局もさらなる変化が求められています。

鈴木先生、渥美社長、外ノ池さん、本日は大変勉強になりました。有難うございました。





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