本日、経産省主催の「おもてなし経営推進フォーラム」を聴講、取材をしてまいりました。
顧客満足経営の世界では著名なお二方、ネッツトヨタ南国の横田社長、でんかのヤマグチの山口社長のお話をうかがうことができました。
前職ではなんどかご講演、取材記事を拝見いたしましたが、久しぶりに勉強させていただきました。
何回かにわけてご紹介したいと思いますが、
まずはでんかのヤマグチ山口社長。
東京町田市においてヤマダ電機、コジマなど6店舗のチェーンストアに囲まれながら生き抜く120坪の店舗。
価格至上主義の家電業界において、「価格」ではなく「おもてなし」で競争軸をつくった稀有な企業です。
「おもてなし」にかかわるエピソードが有名ですので、それらを挙げたいと思ったですが、今回は、
いくつか経営的な特徴的を列記します。
1)売り掛け販売をやめた
町の電気屋さんでは当たり前だった、売り掛け販売をやめてキャッシュフローを向上させました。これによって3)と4)のベースができることになります。
2)商圏を小さく設定し、顧客を絞り込んだ
小商圏化はチェーンストアにかぎらず、すべての小売業に共通の重要戦略ですが、ドミナント出店を併用しない限りチェーンではなかなかできない判断です。ましてやヤマグチさんは単店。かつて3万4000人あった顧客名簿を1万人超に絞って、これらのお客様を徹底的に尽くす判断を行いました。
しかし、この判断が顧客とのカスタマーリレーションの密度を高めることになるわけです。
3)売上主義から粗利益主義&実力主義に変換
営業マンの成績は「売上」ではなく「粗利益額」で評価されます。しかも成績表が毎月発表されます。なんと上位の営業マンは自宅にもこの成績表がFAXされるとか。
これは、山口社長の「がんばった者は家族の方々にも知って欲しい」との考えから。
でも油断していると、子供から、
「最近、会社からFAXこないねえ、お父さん」と無邪気に言われてしまうそうです。
だから、またお父さん頑張らなくては・・ですね!
4)月次決算から日次決算へ
1)3)にかかわることですが、キャッシュフローが明確になってこそ個人の判断、経営の判断も環境の変化、顧客の変化にも対応できるものになるのです。
ちなみに、家電のチェーンの粗利益率は、16-18%前後ですが、ヤマグチさんはなんと40%を超えました。6店舗のチェーンに囲まれてですよ。
22%前後からスタートし、さまざまな改革を経て7年かけて達成しました。
家電業界では信じられない数字です。すごいの一言です。
山口社長は、「顧客満足」というと精神論を語る人が多い中で、「数字」をきちんと挙げて語る方です。
だから人間的なエピソードも、リアルな実感となって説得力が出てくるのです。
さて、ブログのタイトルは、ヤマグチの誇る「おもてなし」エピソードからのもの。
この47年に2回とは、
お客にとって役立つことはなんでもやろうと宣言したヤマグチさんが、
お客から、
1日(泊りがけ)留守番してくれと頼まれた回数です。
回数の問題ではありません、ここまでお客との信頼関係が構築できているという証左です。
お客の信頼第一とはだれもが口にします。
山口社長は、
「どんなことでもご相談くださいといって、1万人のお客様をベースに地域にそのサービスが浸透するまでに小さなことを積み上げて最低7年。ほんとうに頼まれるようになるには10年」
と言います。
やはり重みが違いますね。
信頼は一日で成りませんが、一日で失墜するものです。
肝に銘じたいと思います。
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