月刊MD編集長(2代目)のブログ



ある方のFBで紹介されたので、「ニーチェの警鐘」読んでみました。




なかなか面白かったですね。とくに政治家のこき下ろし方はほかにはない小気味よさですね(笑)。




アナウンサー出身の神奈川県知事の話は、私も知らなかったのですが、ウケました。*笑い事じゃないんですけどね




かれは知事選の公約で、




「4年間で200万戸分の太陽光パネルを設置」を掲げたそうです。




まあこれが、大震災に便乗した物言いで、到底不可能であろうことはわかるのですが、




後日、記者団が公約の不履行を追及すると、この知事は、




「あのメッセージは役割を終えた、忘れて欲しい」




と、いともあっさりのたまわったそうです。




同書の著者は、




「詐欺師が政治家になる世の中、こういうあほを生み出すのが、ニーチェが警鐘を鳴らした『バカ』が力を握る世の中」と指摘しています。




まあ、いまの政権与党もまったく同じですよね。




かれは、この『バカ』をマスコミに扇動されやすい、判断力の低い低IQの集団「B層」として、ニーチェの警句を引用しながら、かれらがいかに社会の害毒かを独自の論拠で展開していきます。




この「B層」という言葉自体は、小泉郵政解散選挙時に大勝利をもたらした、とあるマーケティング企業がつかったものです。




「B層」とは、




維新とか、改革とか、グローバルとか、絆とか「平等、人権、民主」といった耳触りのよい言葉を盲信し、




「わかりやすさ」を求め、




それがもたらす陥穽や害毒を検証せずに(する力がない)、誘蛾灯のように引き寄せられ思考停止に陥る層だといいます。



怖いのは、これらの毒に冒された人ほど、

「自分は操られていない」

「自分は自分の意見を持っている」

と思っていたりするんだそうです。


テレビや雑誌に出てくる有名人の生活を「セレブ」と奉り、憧れ、




食べ物をFBやブログにアップしては、プロでもないのに、批評を加え、行った先の店舗では店主との会話を求める・・。そしてそんなカッチョイイ人に憧れ、「いいね!」を押しちゃう。これも「B層」。




うわーっ! 思い切り私も「B層」だ!(笑)




でも、私は小泉自民党はまったく評価しなかったし、あのワンフレーズポリティックスなんて、頭の悪さ以外なにも示していないと思っていたし・・(言い訳)。




でもユニクロの柳井さんもカミングアウトしていましたが、わたしも民主党に投票しちゃったし(恥)、




まあ、過ぎたことはどうでもいいのですが、この本の著者の4象限(A層からD層)の定義はちょっと雑で疑問もありますが、




そういえば、




維新とか、革命とか、革新とか(*前職は「革新」と名のついた雑誌だったし)、こういうものに対しては、ちょっと親近感を持ってしまうあたりは、私も「B層なんだなと思います。




ですが、




それらの耳触りのよい言葉の響きのもたらす陥穽、害毒を検証できる力、判断できる力、




これがあるかないかで、「B層」がもうちょっと細分化されるような気がします。




自分はそう心がけているぞ!という弁解ですが・・。




まあ、「ニーチェの警鐘」の筆者は、民主主義が『バカ』な「B層」を生みだすことをえんえんと言っているわけですが、




民主主義でなくとも、「B層」の類(マスコミがつくった世の中の空気に迎合する層)を生み出すわけであって、




私の好きな永井荷風さんの「断腸亭日乗」にこんな一文があります。




「日本現代の禍根は政党の腐敗と軍人の過激思想と国民の自覚亡きことの三事なり。政党の腐敗も軍人の暴行も、これを要するに一般国民の自覚に乏しきに起因するなり。個人の覚醒せざるがために起こることなり。然り而して個人の覚醒は将来においてもこれは到底望むべからざる事なるべし」。




これは日中戦争のはじまる前に書かれた日記の一文です。




荷風さんは、日本人の「B層」的素質をいちはやく見抜いていたんですね。




この一文、軍人を除けば、いまの日本にそのままあてはまります。




荷風さんのような「眼」、私も持ちたいものです。