ワンコイン検診サービスのケアプロさんが、奈良県の保健行政と組んだ実験プロジェクトを開始するそうです。


http://www.pref.nara.jp/dd_aspx_menuid-18089.htm


日本には定期健康診断を受けない人が約3300万人いるそうです。


健康診断は、重大疾患、生活習慣病の早期発見につながり、


地域の健康生活を向上させるばかりか、公的な医療費負担を軽減します。


ケアプロさんは患者自身、つまりセルフで採血してもらい、簡単な成分データ数字がその場でわかるというもの。


患者さんは自分で数字をチェックして、気になるようであれば医療機関にいくというものです。


東北の被災地でもこのセルフ検診が導入され、被災者の方々の健康にかかわる定点チェックなども行っています。


社長の川添さんは若きベンチャースピリットを持った方で、月刊MDにも登場していただきました。


彼によれば、


この「セルフ採血」と「数字チェック」いうところに、地域によって、人によって、


医師法違反などの疑いをかけられ、このサービスが行えないということもしばしばだったそうです。


公共の社会福祉にとってよい活動とわかっているのに、


解釈次第で左右される脆弱なコンプラよって、ドラッグストアの優秀な経営者の方々も、逡巡して導入できなかった例も多くあります。


かれらはかれらの方法で地域の健康診断のスキームをつくろうとしています。それはそれで素晴らしい取り組みだと思います。


さて、


そのような状況の中で、都道府県レベルの薬務課が率先して実験プロジェクトを行うというのは画期的なことです。


個人的には奈良県は見事にこの硬直した業界に風穴を開けたわけですが、


ひょっとすると奈良県が違法だと騒ぎ出す人々もでてくるかもしれませんね。


でも私は、それはそれで司法の場でしっかりそれぞれの意見をぶつけ合い、


立法の不備によって、健康増進、医療費削減策が阻害されているのだとしたら、


しっかり立法整備すればよいだけの話です。*それだけの見識を持った政治家がいるかどうかは別ですが。


それなくして、いつまでも解釈論で、とどまっていては前に進みません。


薬事法も同じです。


薬事法を遵守することは大切ですが、


取材をしていますと、地域、あるいは担当者によって、


第1類医薬品の空箱陳列も認めない例もあるとか。


こういうのを「法治」ではなくて「人治」といいます。


「奈良県は奈良県、うちはうち」


と、担当者の方はいうでしょうが、


仮に奈良県がこの実験に成功し、県内各所で大々的に「健康診断」をおこなって、


重要疾患軽減、生活習慣病発生率を抑えることができたとしましょう。


そうであれば、奈良県に住みたいというひとたちが増える可能性があります。


住む人が増えれば、税収もあがります。


まあ、「人治主義」「事なかれ主義」に陥ったお役所の担当者というのはそんな想像力は皆無です。


税収が減って、自分の給料が削減される現実を見るまではそのような考えを続けるでしょうね。


*いま大阪の橋下市長が取り組んでいることはこれですね。


ちょっと、話が飛びましたが、


このような現実をしっかり見据えて、薬事法などもしっかり議論しないと、


ほんとうに生活者の健康を支える安心安全な医薬品の提供は実現できないでしょう。