国立新美術館でセザンヌ展が行われています。
セザンヌの故郷、エクスアンプロヴァンスは学生時代、一夏過ごした思い出の地です。
エクスはわたしの余生を送る第一候補の街です。(笑)余生はできるだけ長くしたいものですねえ。
さてこれは、エクスアンプロヴァンス郊外にあるサンヴィクトワール山。
セザンヌが生涯に渡って描き続けたモチーフです。
同じモチーフをなぜ描き続けたのか。
学生のころは、そんなことなどつゆほどにも関心ありませんでしたが、
仕事をするようになって、流通専門誌の編集者という立場になり、少しずつわかるようになってきました。
セザンヌは、山を描いていたのではなく、対象に迫る、対象の本質を表現する方法論を追求していたのだと。
専門誌に限らず編集者はつい主題のユニークさを求めます。
ですが、真のエンターテイメントは、主題をさまざまなアプローチによってちがう見方を浮かび上がらせる方法論にこそ宿っているような気がします。
今回の展覧会のキャッチコピーにも使われていましたが、
「たったひとつのりんごで世界を驚かせたい」。
セザンヌが晩年語ったことばとされています。
たしかにセザンヌの描いたりんごは誰にも真似できない実在以上に私たちにその存在を知らしめるものです。
主題ではなく、方法論を確立すること。
なんども同じ対象に迫り、見方をかえ、本質を抉りだす。そして自分だけの方法論をうみだす。
まあ、そんな大それたことは考えていませんが、
久しぶりにセザンヌの世界に触れて、自分のりんごをどう表現するか。
闘志が湧いてきましたよー。
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