小売業の元日営業がときどきマスコミにも話題になります。
ときに、批判意見もあります。
「元日から働かせて・・正月ぐらい休めばいいのに。家族がかわいそう・・」
「むかしは、お店なんて開いてなかったし、1日くらい休んでもいいだろう。エコじゃないな・・」
こういう意見の方は、おそらく小売業を心のどこかで蔑視している人たちなんだろうと思います。
大晦日だって、元日だって、
一生懸命働いている人はたくさんいます。
ホテル、旅館業の人
システムの保守メンテサービスの人
24時間稼働している工場で働く人
交通機関で働いている人
物流センター、運送業で働いている人
放送局の人
警察、消防、自衛隊の人
病院で働いている人
すべてのライフラインに携わる人
などなど
いつもと変わらぬ、日々の人々の暮らしを支えるために、
人々の暮らしに潤いと彩りを与えるために、
自身の仕事を全うされています。
小売業、サービス業に携わる人たちもまったく同じです。
いつもと変わらぬ日常を支えるために、「誇り」を持って仕事しているのです。
その仕事に区別はありません。
よって、わたしは元日営業を、
安っぽいトラディショナル礼賛で批判する「似非評論家・コメンテーター」とやらを心底軽蔑しています。
ユニクロの店長教育などにも携わった
原田隆史先生は、
土日も元日も職場(売場)に出かけるお父さん、お母さんたちにこう提案しました。
「冷蔵庫にはってあるホワイトボードでもなんでも、一言書いてあげていってください」
そして、お父さん、お母さんたちは実践しました。
冷蔵庫のホワイトボードに、
「行ってくる。この前の日記よく書けていたぞ」
息子も娘もなかなか会えないのですが、
返事を書きます。
「いつも有難う。がんばってね!文章題が苦手だからこんど教えてね」
お子さんが大きくなれば、携帯で毎日やりとりしています。
こんなつながりがある中で、お父さん、お母さんたちは頑張っています。
時折、新卒の就活セミナーで、お話させていただくこともあるのですが、
多くの学生からくる質問は、小売業、飲食、サービスの場合、
「土日休めますか?」
「友達と予定が合わないから困る」
これがダントツです。
わたしはそのとき、たいていこの原田先生のお話をします。
「土日休みでも、子供との会話もなくゴルフばっかり行っているお父さんも、
もちろん子供のことを実はものすごい気にかけている。
そんなお父さんだって、
ホワイトボードごしの会話を行っている。
大事なのは土日が休みかどうかということではなく、
人と接している間に最善を尽くせるか、
会っている時間は短くても、心を通わせているかということ。
社会に出れば、
家族ができれば、
友達の付き合い方も、家族のかたちも変容する。
その変容を受け入れ、満足度の高いコミュニケーションをつくっていく能力が
家族関係の結び方も、
また今後のビジネスにおいても非常に大切になる。
実は小売業、飲食、サービス業は、そのコミュニケーション能力を高める最前線なんですよ」
この言葉の意味を想像できた人は、将来素晴らしい販売員さんになるはずです。
就活ご担当の皆様、ぜひご参考ください。
さて、本年も読者の皆様のおかげでつたないブログを続けることができました。
来年もどうぞよろしくお願いします。