月刊MD編集長(2代目)のブログ

本日午前中は、「これドラ」筆者であるサンキュードラッグ平野健二社長と、昭和大学客員教授である中島宏昭先生の対談収録でした。


中島先生は、昭和大学横浜北部病院の副院長を長く務められ、大学病院における薬剤師を含めた「チーム医療」体制を確立した方であり、呼吸器系、とくに肺がん治療における国手のお一人でもあります。


http://ameblo.jp/md-editor-in-chief/day-20110826.html

*中島先生を紹介した以前のブログはこちらです。


きょうは、月刊MDでも好評連載中であります、平野社長の対談シリーズにご登場いただきました。


テーマは「地域医療の質的向上」のために医師、薬剤師、看護師など医療人が業界のしがらみを超えていかなる連携をとることができるのか。


素晴らしい内容になりました。


詳細は、月刊MD1月号にて。


楽しみにしていてください。


中島先生はおっしゃいます。


薬剤師も、看護師も、医師も、それぞれの既得権を奪われることを危惧するのではなく、


医療を質的に向上させるという「知の創造」をともに作り上げられないことを恐れよと。


また薬剤師も、看護師も、医師の権限を肩代わりして医療行為の一端を担うことが(血圧をはかったり、予防注射を打てるようになること)、医師を楽にするということが目的ではないことを今一度考える必要があると。


そうであれば、単に血圧が高い、低いという数字はセルフでわかるけれども、


その数字が何を意味するのか。


薬剤師、看護師、医師それぞれの立場で異なってくるはずなのです。


そこに「質的向上」があるのです。


また、中島先生は、「現場の変化を見ることが大事」と言われます。


医師の世界も、


実際の患者の日々の変化を見る臨床医師と、画像所見を専門にする放射線科のコミュニケーションが大事だそうです。


中島先生は臨床のお立場から、放射線科の客観的なサジェスチョンは重要と言われますが、臨床医師の多くは実は、「現場も知らないくせに」と考えがちだそうです。


ですが、先生はともに専門家が専門家の陥穽に入り込まないように、双方の意見を聞くことを大切にされています。


なかなかこういう発想ができる方はいらっしゃいません。


ですから、薬剤師の方が、自分の患者が投薬後どのように変化をするか、それを知ることがなによりも大切だと言います。


そして医師もまた、化学療養のプロの意見を尊重せよと考えるのです。


だから血圧の数字は数字が高いか低いかが問題なのではなくて、数字にどんな意味があるのか。


それが大切なのです。


これって、小売業経営も同じはないでしょうか?


現場(売場)の人からすれば、


「数字ばっかり見て現場を知らないくせに」、


経営企画(本部)の立場からすれば、


「数字を知らないで運営ができるか」、


と考えがちです。


そうではなく


ともに「売場の質的向上」を考えよう。


お客様にとってかけがえないのない価値を提供しようという「店舗」の共通の目標の中で、仕事をする。


お互いが不満をかかえて、くだを巻いている場合じゃない・・。これが大事なのではないか。


そんなことを考えました。


さて、わたしもお二人のお話をうかがい、僭越ながら思いました。


たとえば、血圧を測る行為が、医療行為にあたるとかあたらないとか、そんな低レベルの話はやめよう。


血圧の数字にどんな意味があるのか。互いの立場を尊重しながら、プロの意見を求めあう環境をどうつくるのか。


地域医療の質的向上のために、患者のよりよい人生のために、「流通」がなにができるのか。


その方法論を流通のもつ最大の武器である「小さく」考えていこうと。


そしてその小さな取組と実証成果を、その情報が必要な人々へ発信し続けたいと思います。


素晴らしいお話を有難うございました。