最近、東洋経済新報オンラインで、グリーの田中良和社長の短いインタビューがあったので、読んでみたんですが、面白かったです。

もともと、いろんなビジネス雑誌でちょこちょこ見ていたのですが、ゲームの世界は疎かったので、正直、いまいち関心がありませんでした。

でもあらためて、インタビュー読んだら実に興味深かったです。

まず、思ったのが、思考回路がユニクロの柳井さんに通じるということ。

世界的視点から自身の価値をベンチマークせよ・・なんて柳井さんもよくおっしゃっていたなあと。

私的にピンときた項目を、インタビューからざくっと拾ってみるとこんな感じです。

1)求められているものをつくる

ゲームの世界って、「いままでこんなものを見たことないだろう?」というような技術革新競争の世界だと思っていたんですが、もちろんそういう「わぉ!」をつくりだすということを軽視しているわけではありませんが、意外とアナログの世界を大事にしています。

ゲームに詳しい人に聞いたらソーシャルゲームの根本は、「だれかの役に立ちたい」という精神だとか。

頑張って高額な武器を購入して、自分で使うのではなく、困っている人につかう。

*TOKIOさんのCM見ていてもそんなかんじですもんね。

軽い感動を覚えました。ただこれがマイナス極にいくと、いつかしら話題になった「ネトゲ廃人」!?になるんですよね。


2)グローバルスケールアウト

最初から世界に通用するものつくる。世界を相手にすれば、市場だけではなく、チームにも優れた人材が集まります。

「服は部品」と言ったのが柳井さんでしたが、細かなローカライズはあるけど、まずはどこでも受け入れられるものをつくる。

この発想は新しいものでもなんでもなく、ソニーの盛田さんの本にもホンダの本田宗一郎さんの本にも書いてあります。

つまり日本のベンチャー産業がもっていた共通のスピリットです。

日本の製造業はとても大きくなったので、このベンチャースピリットがぴんとこない人もいるでしょうが、日本の名だたる大企業も元はベンチャーでした。

小売業、ゲーム産業などソフト産業はある意味、ベンチャー精神がいまだ息づいている世界だと思います。そしてそれをもって世界に挑戦しています。

いろんな識者が、日本は「ものづくり立国」というのですが、製造業礼讃はほどほどにして、ベンチャースピリットあふれるソフト産業にももっと着目してほしいものです。

だって、いまから自動車産業を立ち上げて新興国市場で勝負する!なんて言ってもだれも信用しませんもんね。(笑)

でも、アパレルやゲームソフトや
飲食の世界なら、ありそうと思える。ここが大切です。

別に世界市場に挑戦することが、すごいことではありませんが、なでしこみたいに世界をあっと言わせることができたらなあと思います。

才能がこの分野に集まってほしいですよね。世界に通用する日本のサブカルの世界に日本の思想界の若手トップが集まっている現象とは、対照的ですね。


3)実例で人は動く

田中社長はリアリストです。でなければ、ここまでのビジネスにならなかったでしょう。

「~すべき」というのは簡単ですが、実際人を動かせる力とはなにかを理解しています。

個人的にも「~すべき」と人にいう資格のある人は、やはり「実際、人、モノを動かし、成果を出したことがある者」でなければと思います。

卑近な例ですが、わが月刊MDのあり方も、ちょっと考えさせられました。

この「実例をもって人を動かす」は月刊MDの今後の展開においても肝に銘じたい言葉です。