「フランス×カナダ」。
前半は五分のスタートでしたが、後半残り10分くらいからロスタイムのトライまで、
フランスの猛攻に酔いしれましたね。
オールブラックス戦が楽しみです。
さて、連休が続くので、原稿も整理しています。
月刊MDではこの間、ドラッグストアフードをテーマにさまざまな情報を仕込んでいます。
ドラッグストアが「フード」とどうむきあうか。
地域の皆さんにとってこんな食品部門がほしかったと思われるためにはどのような戦略をとるべきか。
少しずつ整理できてきました。
まず、多くのドラッグストアのこれまでのフードに対する常識をもう一度おさらいしてみましょう。
1)われわれは「薬屋」であり「化粧品店」である。「健康と美」を地域に提供しているのだ!食品は来店頻度を増すための部門にすぎない。
→こう考えるドラッグストアさんはとても多い。でも「健康と美」をベースにしているというなら、食品こそ「健康と美」のベースです。来店動機づくりのための「安かろう悪かろう食品部門」とのアンバランスで顧客支持を失っている店舗が実に多いのです。
だって消費期限管理もできていないような牛乳を売っているお店で、いくら「健康と美」を提案してもお客様は信頼するでしょうか?最低限の技術として消費期限管理ができない店舗はかえって「食品」は置かない方がよいのです。
「われわれはHBCショップだ」と決めつけてしまう店舗ほど、意外と顧客からはそう思われていないもの。取材先でも、食品には力を入れていないのにおばあちゃんから「ここは牛乳が安いから」といって牛乳一本だけ買っていくお客様がいました。「われわれは○○屋」と考えてしまうのは、実はもろ刃の剣なのです。
2)食品は低粗利であり、作業が増える。コスト増の割に儲からない。
→これはそのとおり。だから最近はコンビニ方式のコールドチェーン、プロセスセンター活用の惣菜、弁当を置いたりしますが、これはコンビニの後追いにすぎません。ましてや、栄養士さんがつくったローカロリー弁当が「ドラッグストア」の武器ではありません。これがほんとうに売れるなら、コンビニはもっと大規模にやってくるでしょう。コンビニは有名栄養士さんと著名調理師をコラボさせて商品開発をおこないます。ちょろちょろとやってもコンビニには勝てません。
もうちょっといえば、ちょろちょろっとしたお弁当、総菜売場をつくっても、ドラッグストアはオペレーション上、売場の維持管理ができないでしょう。
コンビニ、食品スーパーはシステムと人海戦術で、ロスをいとわず売場をてんこ盛りにします。これはすかすかの売場では「売れ残り感」が出るからです。だれでもすかすかの売場にちょこんと2-3個残ったような弁当を買うのはためらいがあります。
大きくはこの2つの常識にとらわれているケースが多いようです。
売場面積でいえば、80-250坪タイプです。
おそらくこの先2年くらいのうちには、中途半端な商品構成のドラッグストアは相当淘汰されます。
というのはこの2年くらいで従来のドラッグストアとは異なる「ヘルスケア」業態をつくりたいと準備をしている企業がたくさんあるからです。
その根幹思想がドラッグストアフード革新です。
勉強している企業はほんとうに進んでいます。
月刊MDはほんとうは半歩先を読者の皆様に提示しなければならないのですが、追い付くのに必死です。
詳細は、月刊MD上で何回かの特集にわけて技術を体系化していきたいと思いますが、
今回は項目だけアトランダムに。
a)食品をドラッグストアの一部門と考えるのではなく、地域の「トータルヘルスケアステーション」と考えて、「OTC、化粧品、日用雑貨、調剤」と並ぶ主要部門の柱として考える。もしくは、新業態として店舗名も変えてつくる。
b)食品MD担当をスカウトして社長直轄のプロジェクト責任者とする。1-3店舗単位で実験する。その場合、不振店舗でやるのではなく、旗艦店舗クラスでおこなう。
c)米、酒、水、(パン)は地域の食品のベースであり、これらは地域生産者、ベンダーと協力し、地域最低価格帯のEDLPを実現する必要がある。食品プロジェクトが社内でつぶされないためには、確実に集客と売上が見込めるカテゴリーをつくっておく必要がある。
d)コンビニの「利便性」、食品スーパーの「献立提案」がカバーしていない領域はどこか。たとえば、高血圧の人が楽しい減塩食生活を行いたい場合、妊婦さんがどんな食事に気を付けて、同時にお肌のお手入れなども知りたい場合、その人たちはいまどこで相談しているのか?コンビニ、食品スーパーではそんな相談はできない。「食育」といっても食品スーパーにそれを求めに来店している人がどれだけいるのか?むしろ「食育」はドラッグストアのほうがやりやすい。
また意外とコンビニも食品スーパーもタンピン訴求で、ローコストで「豊かな食生活のバリエーション」を提案できていない。コストコが「パン」の種類を増やしているのはなぜか?朝食のバリエーションを増やしているのである。
e)地域の食材生産者とコラボ、共存共栄するビジネスモデルを構築する。生鮮の「地域生産者直接納品方式」もホームセンターのほうが積極的に取り組んでいる。いつでもある食材の提供ではなく、旬のモノを食すのが「健康と美」の基本と考え、いまあるものを提供することをコンセプトとする。
f)ドラッグストアは扱い商品的に「ライフスタイルストア」へもっとも変貌を遂げることができる可能性があるのに、「くすりと化粧品、日用品の有名メーカー商品の置き場」としてしか消費者に認知されていないのは残念。これは「モノ」を売っているからである。「コト」を売るための店舗づくりにあらためてチャレンジしたい。そのためには外部の新しい血を入れることも必要。
g)小規模のうちは食品ベンダーのチカラも積極的に利用する。商品調達に限らず、情報交換によって「食」の知識をスタッフに提供し、「HBC」とのクロスMDをいかに行うか知恵を絞る。
現状のように、コンビニ的利便性を高めるために、お弁当、総菜をちょろちょろっとお願いしているだけでは、食品ベンダーも見放すだろう。成長性がまったく見込めないから。むしろ食品ベンダーは、自分たちの持つ情報を最大限活用してくれる企業の新しい業態開発に関心を寄せている。
h)地域事業者とのコラボも積極的に進める。ドラッグストア単独店舗、もしくは企業で完結しない。地域の牛乳配達屋さん、クリーニング屋さん、新聞配達屋さん、とくに戸別訪問するデリバリー業者と連携が組めないかを考える。かれら地域の戸別情報と介護、看護ステーション、地域の医療情報のハブとなりうるのはドラッグストアの優越性であり、お互いの付加価値を高めるためにはなにができるのか?これが本来のリテールマーケティングの本質である。