photo:01


ちょっといろいろ調べることがあり、商業、流通アカデミズムの泰斗田村正紀先生の「消費者の歴史」を通勤途中に読んでます。

田村先生曰く、商業史、流通経済史、貨幣経済史などはあるけど、消費者の通史はなかったといいます。

本書は、江戸から現代までを俯瞰しているのですが、ざっくり「消費者」がどう誕生していったのか、把握するにはとてもいい入門書です。

江戸の流通は、むかし古文書解読まで踏み込んだことがあるのですが、途中、挫折しました。やはり慣れないことはしないほうがいい。(笑)

久しぶりの田村先生のご本でしたが、元禄時代のところで、はっとした記述が。

江戸は、身分制度の時代ですから、武士も農民も町人も大多数は、いわゆる底辺の消費でした。しかし、元禄時代にようやく一握りの層ですが、現代に通じる消費の原型が、発生してきました。

それを、元禄文化の三大スターが、見事に象徴しています。

西鶴の利と色

近松の義と情

芭蕉の風雅と清貧

面白いですね。

西鶴は、豪商の遊び方、色里の粋を描きました。

ベンチャーで儲けた経営者が、高級マンションに住み、車も何台も持つ生活。そして毎日モデルさんたちと合コン…あー羨ましい!(笑)。江戸の豪商とは、比べようもないほど、ちんまいですが(笑)、まあ感じはなんとなく似てます。アラブの石油王かアメリカの投資ファンドのほうがまだ近いか。

色里の粋は、キャバクラなどに受け継がれているでしょうか?

近松の描いた、義理、人情は贈答返礼の形式に受け継がれています。もらったら返す。いまでもお中元、お歳暮、快気祝い、内祝いなどこれもみな現代に残っています。義理が、極度の制約下に置かれるとき、心中になります。

お車代というのは、まさしく色里の用語らしいですね。

そして、風雅は無印良品のような物語、文脈消費、清貧はエコ消費にあたるでしょうか。

こうしてみると、この三大スターは消費の本質を示しているんですねえ。



iPhoneからの投稿