こんなタイトルの映画監督の番組だか雑誌のコーナーがありましたよね。




なんでこんなタイトルかと言いますと、




先般のブログで書いたターゲットには思い出がありまして・・。




わたしがターゲットをはじめてみたのは、2002年のこと。ずいぶん遅いですよね。




その前年、NYで同時多発テロが起こりました。




その1年後です。イラク戦争の1年前とも言いますが、02年、世界情勢は騒然としていました。




まだ海外出張を控える企業があるほどだったと思います。




わたしは当時、あるチェーンストア経営の雑誌の一編集部員に配属されたばかりでした。




出てくる用語や企業名は、どれも専門的なテクニカルタームばかり。




先輩方は、みな10-15年選手。わたしはこの世界に入って3年ぐらいでしたからほんと見るもの聞くものすべて新鮮でした。




ウォルマートもターゲットもウォルグリーンも、その頃必死で覚えていたものです。




さて、その02年、吉田繁治先生によるNY流通視察研修の募集があったのです。




当時、「ビジネス知識源」というメルマガでビジネス情報提供方法の革新を試みておられた先生を知ることができまして、わたしの所属していた雑誌にもご執筆いただくご縁に恵まれました。




どこが革新だったかと言いますと、




この流通視察ツアーの告知、募集もすべてメルマガのみ。




そしてNYのとあるホテルへの現地集合現地解散という募集内容でした。




斬新的で衝撃的でしたね。




この告知の前に、2回もその方法で人を集めて海外ツアーが実施されており、そのうち1回は9.11直後です。その中でも志の高い人たちが集まったことをメルマガで知っていました。




なので第3回にあたるNY視察に、わたしもエントリーしたくて、当時の編集長にかけあいました。




「ウォルマートも、ターゲットも実際に見たことがない人間がチェーンストア経営誌の編集者なんてできません」




当時の編集長は、わたしを採用時から引っ張ってくれた人で、業界では名編集長として著名、若手の面倒見もよい方だったのですが、わたしの先輩にあたる2人の編集部員が最近アメリカに行く機会もなかったので、そのときはもうちょっと待ってくれという返事でした。




まあ、当時はわたしもとんがっていましたから(笑)、先輩のアメリカ行きの順番なんか待っていられるか!ということで、お金もなかったのですが、自腹で参加しました。




はじめてのNY、そしてウォルマートやターゲット、吉田先生の聞くことすべて目から鱗の講義もさることながら、そこに集まった人々は皆本当に素晴らしい方々でした。




いまでも大事なお付き合いをいただいている方々ばかりです。




それでいまでもこのセリフは覚えているのですが、




NYはいつ寝たのかわからないくらい、視察をしては、みなさんでホテルで夜を徹して議論しあいました。




たぶん皆さんと仲良くなって2日目くらいのホテルの一室でしょうか。




北海道最大手スーパー連合の一角の創業家のご子息が、




「会社から派遣されてきたの?」




「いや最初は上司にかけあったんですが、エスカレータの順番待ちはいやなんで自腹できました」




こう言ったとたん、かれは手を差し出しました。




「そうか、会社のお金できたかと思ったよ、けっこうやるじゃん」




彼含めて、名のあるスーパーのご子息などが参加したツアーだったので、思ってもみなかったのですが、




なんと、かれらはすべて自腹。




つまり会社の研修教育費用とは別に皆さん申し込んだ人ばかりだったのです。




これあとで、自分でも偶然だったなあと思い返すのですが、おそらく会社から派遣された人間であれば、




表面上ではかれらは付き合ってくれたかもしれませんが、いままで続くような関係にはならなかったように思います。




人って、たぶんこんなとりとめのないところでつながります。




あとにも先にも、思い切って自腹で視察ツアーを申し込んだのはこれだけです(恥ずかしながら)。




まさに運命ですよね。




そして、もうひとつそのとき強烈に印象に残っている店舗が実はターゲット。




レジを見ていると、




小学生くらいの娘さんを連れたお父さんが、娘とおそろいの自転車とヘルメット、手袋、サポーター、靴下、くつなど全身親娘ルックでかためて、二人でレジを通過していきました。しかもぜんぶ身に着けてレジは自転車を押して。




2人分で、自転車入れて、4万円程度だったと思います。




その親娘ルックのカッコよさ、安さ、そして何よりも、満足な笑顔でレジを通過する親娘・・。




アメリカのチェーンってすごいなあと心底思った瞬間です。




思わず写真を撮ったのですが、あの写真どこに行っちゃったのかなあ。




それにつけても、いまでも流通に携われることの有難さ・・。これはお世話になったすべての人に感謝です。