きのうは、コスモス薬品さんの決算発表会にもうかがいました。
売上は2371億7400万円(前年同期比15.5%)。
20期連続の2ケタ増収であり、営業利益は同29.7%増です。
粗利率は19.1%で前期より0.1ポイント落とし、販管費14.9%とこれも前期比で0.8ポイント落としました。
それで営業利益率は、業界第2位のツルハさんにあと0.2ポイント迫る4.2%です。
コスモスさんは我が国のチェーンストア志向企業におけるディスカウントモデルの代表です。
よって、粗利率を下げ(売価を下げる)、それを上回る比率で販管費を下げて、営業利益を出すモデルです。
2ケタの増収増益が3年も続けば、成長企業です。
ユニクロさん、ニトリさんなどがそうでした。
やはり元気のよい成長企業が業界に存在するのは重要です。
コスモスさんの課題を挙げるとすれば、「労働生産性」でしょう。
コスモスさんの労働生産性(年営業総利益高÷期末従業員数)は800万円前後です。
簡単に言えば、少ない人数で、どれだけの儲けをつくれたかということです。
ドラッグストア業界平均が、895万円ですから、これはちょっと低い。
しかし、粗利率が、20%をきり、食品が売上構成比50%を超える中で、この数字はすごいと言わねばなりません。
ちなみに、食品スーパーマーケットの労働生産性の平均は689万円。
食品スーパーの坪当たり売上はもっとも高い業態ですが、人海戦術で支えているといえます。
たぶんコスモスさんの努力の方向性は、粗利率が、20%をきり、食品構成比50%超の中で、1000万円(*ちなみに食品スーパートップはヤオコーさんの926万円。粗利率23.9%でコスモスさんと4.8ポイント差がありますが・・)にどれだけ迫れるかという部分への挑戦だというような気がします。
そのためには、生産から販売までのより合理的かつ効率的な情報統合とロジスティクスの変革に挑戦されていくことでしょう。
ディスカウントは、このブログでも何度も申し上げていますが、
取引先、スタッフへの一方的な負担押し付けではなく、経営合理化でもたらされるものである限り、私は重要なビジネスモデルのひとつだと考えています。
自分の経営努力をおこなうことなく、他者に無理強いしたり、原料や消費期限を誤魔化したり、倒産企業の横流れ品を扱って安売りをすることは、ディスカウントとは、言いません。
ちなみに、ペガサスの政策セミナーテキストの経営効率基礎資料の
業態別の売場販売効率(坪当たり売上)の経年変化表によれば、
百貨店は、
2010年が291万円、ピークは1990年で481万円でした。ピーク比減少率は、マイナス39%
総合スーパーは、
2010年が167万円、ピークは1985年で331万円でした。ピーク比減少率は、マイナス49%
食品スーパーマーケットは、
2010年が319万円、ピークは1985年で、504万円でした。ピーク比減少率は、マイナス36%
でももっとも落差が大きいのが、実はドラッグストアなんです。
2010年が180万円、ピークは1990年で583万円でした。ピーク比減少率はなんとマイナス69%
過去のモデルに固執しているともっとも危険なのはドラッグストアということがわかります。
ふつう、20年で坪効率が7割減となれば、潰れますよね。それなりにドラッグストアも時代変化に合わせてビジネスモデルを転換させてきたという見方もできます。
ですが、売上がなかなか右肩上がりに望めない時代に成長できる生産性の高いモデルはなにか。これが、内需開発のひとつのキーワードになります。
奇しくもコスモスの宇野社長が、おっしゃっていました。
「国内でやるべきこと、出店の余地がいくらでもあります」
業界では、オーバーストアというのが、お天気の挨拶がわりみたいになっていますが、競争軸の異なる視点で市場を見るとまったく見解が異なるのです。
ディスカウントは、内需の下支えです。しかし内需の新たな開発のためには、他のビジネスモデルもどんどん開発されなければなりません。
ビジネスモデルづくりはひとつではありません。
皆がそれぞれの思うところ、信じるところで勝負し、いくつもの内需開発の有望なビジネスモデルを提案、確立していくことが
いまとても重要な時代になってきていると思います。