いまドラッグストアの催事売場では「UV」「熱中症」「水虫」「虫よけ」「夏に負けない栄養サポート」など主要5つのテーマが打ち出されていると思います。
とくに「クール関係商品」はどこも品薄状態。ストアブランド(SB)、プライベートブランド(PB)をしっかり作っている企業は、なんとかぎりぎり発注が間に合っているようですが・・。
「品切れさせない」こと。
これがチェーンストアの矜持のひとつです。
上の写真は、ゲンキーさんの「水虫対策」売場。
ゲンキーさんは久しぶりに売場を見たのですが、売場づくりが実にしっかりしています。
業績も絶好調ですが、これは「安さ」の打ち出しだけではないと思います。
前回ブログで取り上げた「お面陳列」といい、
http://ameblo.jp/md-editor-in-chief/entry-10954134787.html
(「お面陳列」はこちら)
この水虫対策の「曳山陳列」(*祇園祭などの曳山、山車によく似ているでしょ)といい、
日本の夏の風景を「売場」に取り入れています。
つまりストアコンセプトが確立しています。
これは、熱中症対策の「塩飴」のエンド展開ですが、見事ですねー。わかりますか?
これは「滝」に見立てています。しかもフェースはすべてブルー系になっており、まさに涼感をよぶ「滝」の瀑布を彷彿とさせています。
外は灼熱ですからね、売場に入ったら、人々はこの「滝」の涼感に引き寄せられます。
「お面」「曳山」「滝」・・夏の売場をテーマをもってつくると、一貫したストーリーになります。
この一貫したストーリーが「ストアコンセプト」となり、「ブランド」づくりの第一歩となります。
昨晩お会いした『思想としての「無印良品」』の筆者、深澤徳さんと、
売場はまさしく「五感」を喚起させるものだというお話をしました。
それは無印のような「抑制美」「引き算の美学」といった「静」であれ、
このゲンキーさんのように夏の躍動感を全面に打ち出した「足し算」「過剰」ともいうべき「動」であれ、
どちらも「五感」研ぎ澄ませる方法に他ならないと。
深澤さんは、著書の中で、
男と女、プラスとマイナス、物量と精神というように「二元論」はわかりやすく、人はどちらかに拠ってしまう傾向もあるが、両極はどちらかに偏ることなく、常に表裏を交替しながら共存しているという点にも「日本的なるもの」が潜んでいる。元来、多義性、両義性が日本的な処世の方法である・・
と指摘しています。
さらに、松岡正剛さんを引用して、
荒事、和事と言っても、歌舞伎がはじめて表現したわけではない。日本文化は「荒魂」「和魂」という区別を持っていて、それらを使い分けてきた。いったいどちらの日本が本当かということではない、両方とも日本。前者は引き算を生かし、後者は足し算をいかした日本。(『日本という方法』)
と両義性こそが極めて日本的な方法であると結んでいます。
よって、
「静」の売場もあれば「動」もある。
どちらかではなく、どちらもあるのです。
ただし、どちらかの一貫したストーリーが存在していることが大事だと思います。
皆さんの売場は入った瞬間、お客様がほかのお店と、あなたのお店の差異を明確に説明してくれますか?
お客様が、他者に、あなたのお店とほかのお店の明確な違いを説明してくれるかどうか。
それが、「ブランド」です。