『思想としての「無印良品」』からです。




解体されたセゾングループにあって、セゾンのDNAが残っているなあと思うのが、




パルコと無印ですね。




とりわけ無印は色濃く残っています。




その証左のひとつとも言えるのが、無印の商品づくりの3原則。




「素材の選択」「工程の点検」「包装の簡略」




この3原則は創業から現在まで厳守されています。




著者の深澤さんは、言います。




「モノの本質に関わりない部分を徹底的にそぎ取ることは豊かさを研ぎ澄ますことになる」。




「鮭の水煮」は無印初期の大ヒット商品ですが、




頭や尾など通常省く部位をそのまま使いました。




そして、名キャッチコピーのひとつ




「しゃけは全身しゃけなんだ」




これ覚えている人も多いでしょうね。




無印の定番コピーである「わけあって、安い」から派生した数々の名コピーが続きます。



自転車も根強いファンがいます。自転車を「走る」という部分に特化して、カゴやライト、荷台などのパーツを別売りにして、パーソナル化を図ったのも無印が、最初です。


再び、




「モノの本質に関わりない部分を徹底的にそぎ取ることは豊かさを研ぎ澄ますことになる」。




これって実は「詩」と同じですよね。




虚飾の言葉をぎりぎりまで取り除いて、豊かなイマジネーションの世界をつくる・・これが詩です。




深澤さんの言葉をかりましょう。




「詩の言葉とは両義的で多義的なものに他ならない。詩はその言葉によって我々の慣れ親しんだ世界や経験を、ゆさぶりずらしてゆく。語り合えないものを表出することで、形骸化してしまった思考や意識を刺激し、これまでの経験の枠を超えた新たな意味を芽生えさせる」。




いいですねえ。




商品やサービス開発の面白さは、「足し算」だけでなく「引き算」にもあるのです。




そして「引き算」をやって成功しえた小売の極めてまれな企業が「無印良品」ですね。