「小商圏」を「狭小商圏」と定義して、ダイシンさんの半径700メートルよりさらに200メートル少ない、半径500メートルに複数店舗網を築くモデルを実践しているのが、北九州のサンキュードラッグさんです。


サンキューさんの旗艦店の半径500メートルの方が占める売上構成比は実に75%。ダイシンさんの上をいきます。


サンキューさんは、北九州と山口下関エリアに約65店舗をドミナント展開(狭い商圏内の複数店舗出店)しています。「狭小商圏」において繰り返し来店していただくための方法論を実践中です。


ちなみにこの厳しい経済情勢下、サンキューさんのポイントカード会員の対売上前年比はずっとプラスを続けています。


かつて総合スーパーは、衣食住すべてそろえて、1店舗で売上100億円を稼ぐというモデルでしたが、ドラッグストアは1店舗売上4億円でも25店舗で100億円、そしてヘルス&ビューティ(HBC)カテゴリー(医薬品、化粧品)のシェアを総合スーパーより高めるという方法で、ドミナント展開を進めてきました。


よって総合スーパーはトータルの売上はドラッグストアより高いのですが、たとえばシャンプーやコンディショナーは、ドラッグストアのほうが販売数量、金額ともに高くなるのです。


家計調査年報の過去10年の平均では、1世帯当たりのHBCの支出金額は10万円です。


このうちどれだけのシェアをとれているのか、部門ごとに計算してみるとよいでしょう。


これをもっと大きなエリア単位で考えたのが、おなじく九州のコスモス薬品さんです。


地元、宮崎のシェアは実に80%以上、福岡、熊本、鹿児島も軒並み高いシェアを誇ります。


コスモス薬品さんの方法は正統派のディスカウントによるシェア拡大です。


よくディスカウントを敵視する方がいますが、これはひとつの方法論であり、支持するお客様がいるのですから、敵視するだけ無駄です。もっと違うことに頭を使いましょう。


アメブロのレベルの高いブログを拝読していますと、ディスカウントに対抗する、あるいは凌ぐ方法論を実践している経営者、コンサルタントの先生方はたくさんいらっしゃいます。(*わたしもいつも勉強させていただいています)


サンキューさんもDSに対抗する小商圏シェア獲得の方法論を開発、実践中です。


その大きな武器は、2つあります。


1)「調剤」のシェアを高めること


2)価格とスペースに左右されない繰り返し買ってもらえる商品と顧客の発見


です。


シンプルですけど、難しい。でもこの2つは今後の10年を生き抜く、ドラッグストアチェーン戦略の肝になります。


月刊MDの大テーマでもあります。


このテーマはまた次の機会に。