きのうに続いて、決算の話です。




決算数値は、業態内比較だけではなくちがう業態同士を比較するのも面白いです。




同じような売上規模を持つ企業の異業態同士を比較してみましょう。




ときに異業態の視点を学ぶと思わぬ発見をすることもあります。




まずは、ドラッグストアのマツモトキヨシさん。




売上 4281億8400万円


粗利益率  27.8%


経常利益率 4%


店舗数 1213店




衣料スーパーのしまむらさん。




売上 4401億円


粗利益率 32.5%


経常利益率 9.3%


店舗数 1753店




ドラッグストアの扱う医薬品、化粧品はもともと高い粗利益率を誇ったカテゴリーでした。


ですが、厳しい価格競争で単価下落が続き、かつてほどの粗利益がとれません。


よって、価値が高い商品を丁寧なカウンセリングで売るという方法で、粗利益率を高めようとしています。




一方のしまむらさんは


ドラッグストアより4ポイント以上も高い粗利益率です。


これは、衣料品の値入率の高さも示していますが、ちなみにしまむらさんはアパレルチェーンの中では、もっとも低い粗利益率です。




ユニクロは51%、「ローリーズファーム」などで有名なポイントさんは59.8%です。


これらは自分でつくって運んで売る「製造小売」(SPA)だから実現できる数字です。




しまむらさんは売価も安いですし、集荷型という点で、他アパレルチェーンより粗利益率は低いですが、


セルフ型の販売形態で、コストコントロールを行い、高い経常利益率を出しています。


マツモトキヨシさんの倍以上ですね。




もうひとつ例を出しましょう。




ドラッグストアのツルハさん。




売上 2995億7900万円


粗利益率 27.9%


経常利益率 5.5%


店舗数 950店




ホームセンターのコメリさん。




売上 2985億9400万円


粗利益率 33.7%


経常利益率 5.1%


店舗数 1047店




この2つの企業は、ずいぶん数字が近いですね。差があるのは、粗利益率。


ツルハさんの粗利益率、経常利益率はドラッグストアの中でもトップクラスです。




でも粗利益率は、コメリさんのほうが高い。ホームセンター商材で粗利益率が高い商品は家具、インテリアカテゴリーです。コメリさんは、家具、インテリアを中心に持ってきていません。




この粗利益率の高さは、PBです。


しかも、コメリさんは、コースレッド(ねじ)やラティス板といった、工事現場でもっともよくつかわれる消耗品のPBの品質の高さで知られています。だから数が出ます。




ホームセンター企業は家具におう部分もありますが、実は軒並み、粗利益率は30%を超えています。




ホームセンター大手のカインズさんも、


医薬品から男性化粧品までPBをつくっています。


男性用スタイリング剤はなんとマンダムさんがつくっています。




カインズさんは、PBを約1万3000品目つくっていて、売上金額は約1200億円規模になっています。


*ちなみに先ほどの集荷型のしまむらさんもPB比率は40%規模になっています。




ツルハさんでも「エムズワン」というPBをラインアップしており、比率を高めようとしています。




ドラッグストアでは、どうもPBというと敬遠しがちで日用品や食品部門のラインアップにとどまります。




たしかに医薬品、化粧品は圧倒的にNB(ナショナルブランド)のほうが認知度もあり、品質もいいと思われています。




ですが、NBもローカルブランドの発掘から、チェーン展開によって全国ブランドへと成長した例も多々あります。




新潟の小さな食品メーカーだったブルボンさんや亀田製菓さんはその典型ですね。




ドラッグストアが狙うべきPB、SB(ストアブランド)領域はもうひとつあります。




それはジェネリック医薬品。米国ではジェネリックのストアブランドをつくっている大手企業が複数あります。




ここはまだ未開発分野*挑戦しようとしている動きは商社マターを含めて過去にもありましたが・・。




先手を打った企業が伸びると思います。




わが店だけが発掘したローカルブランドを丁寧に売る・・繰り返し買ってもらう・・これももちろん重要な差別化戦略のひとつですが、これは経営スタイルが異なりますのでまた別の機会にお話ししましょう。