加藤登紀子さん風に。*「紅の豚」いい映画でしたねえ。


久しぶりに決算数字とにらめっこしています。しかも他業態を比較するのも久しぶりです。


決算は企業の年間成績表です。けっこういろんな発見がありますよ。


たとえば、


食品スーパーを見てみましょう。


食品スーパー業界でもっとも売上が大きいのは、

ライフコーポレーションさんです。


売上 4808億2200万円 

粗利益率 25.6%

経常利益率 2%

店舗数 208店


粗利益率というのは売上原価を引いた粗利益額が売上に占める割合のことです。

一般に低いと、売価競争に強いられていることがわかります。

高いと、利益率の高い商品が売れているということ。


経常利益率は、粗利益額から販売管理費(人件費含む)を引いた額(営業利益)に営業外収益を足したものを売上で割ったものです。企業の儲け度を表す指標です。


細かな注釈、分析方法はありますが、まあこんな風に理解してください。


次に、東京神奈川でユニークな食品ディスカウント(DS)を展開しているオーケーさんを見てみましょう。


売上 2306億5200万円

粗利益率 20.4%

経常利益率 5.6%

店舗数 63店舗


食品DSですから、粗利益率はさすがに低いですね。

でも経常利益率は、ライフさんの2倍以上。店舗数は3分の1です。


DSなのに利益率が高い。

実はこれが本来のDSフォーマットです。

ドラッグストアではコスモスさんがそうですね。

コスモスさんの経常利益率は、マツキヨさんよりも高い。


少ない経営資源で高い利益を稼ぐことを「生産性が高い」と言います。


ちなみに、粗利益額も、

ライフさんが、98億円に対して、オーケーさんは130億円です。売上は2倍以上あるのにオーケーさんのほうが粗利益額は高いわけです。


粗利益額が高く、生産性も高ければ、スタッフに高い報酬で報いることが可能ですね。

小売業は、他産業と比べて低賃金と言われています。


オーケーの飯田社長は、


「生産性を高めて、社員一人ひとりがしかるべきペイをもらう。それが現場の向上につながり、ひいては、お客様の満足につながる。給料が上がれば個人消費活性化につながる」といいます。


小売流通業の生産性の向上への寄与はこの分野にかかわるものの使命だと思います。


さて、これはライフさんの業績が悪いということを示したわけではありません。むしろライフさんは、昨年の減益を跳ね返し、2ケタの増収増益なのですから、素晴らしい業績です。


もうひとつ、埼玉を地盤にするエクセレントSMのヤオコーさんを見てみましょう。


売上 2210億6100万円

粗利益率 28.9%

経常利益率 4.2%

店舗数 113店舗


ヤオコーさんは、高い産地開発、商品づくり、レシピ、旬の食材提案において他スーパーの模範ともいうべき企業です。

粗利益率は、28.9%とSM業界でもトップクラス。これはディスカウントでなくても商品価値をターゲット顧客にしっかりと伝えていることで支持されていることがわかります。まさしくヤオコーさんは「わが店のお客様=カスタマー」をつかんでいます。


さらに利益率も業界トップクラス。提案型のスタイルはオペレーションコストがどうしても高くなるはずなのに、コストコントロールもしっかり行っているということがわかります。


今回は数字の表面をなぞっただけですが、


数字だけでも、その企業の特性がわかるのは面白いですね。