本日は月刊MDの企画会議。
月刊MDではより現場の皆様に役に立つ情報を提供するという使命のもと、企画をつくっています。
そのためにはやはり編集部だけではなく、外部の専門家の方々とどのようなコラボレーションができるかが重要になってきます。
本日は、ウェザーマーチャンダイジングの常盤氏、顧客IDPOS分析の第一人者奥島先生をお招きしての会議でした。
月刊MDでは、気象条件と現場のMDの相関関係をひも解き、シーズンプロモーションのより高い精度を追求していきたいと考えています。
たとえば、この梅雨の時期、どこのドラッグストア売場でも、水虫対策、ふとんのダニ対策、靴の蒸れ対策、部屋干しのにおい対策、UVケアといった一連のセオリー通りのプロモーション売場ができあがっていますが、
これらのカテゴリーの商品が具体的に動きだすのはいつなのか?
気温と湿度がどれぐらいになったとき、
気圧の変化がどれぐらい生じたとき、
この目安があると、現場の売り方が変わってきます。
これは、熱中症対策でよくつかわれる「経口補水液OS-1」の商品の具体的に売れだす時期(変局点)を示したものです。
気温が30度になると、急速に角度がかわります。これが「変局点」です。*この「変局点」は、気象と顧客IDPOSの組み合わせで算出します。プロのインテリジェンスがなければ発見できません。
つまり沖縄でも、北海道でも、日本は南北に長いのですが、30度超えたら、OS-1が急速に売れ始めます。
でも、大事なことは、30度になりそうな時期の前に、「現場=売場」で消費者の皆さんに気付きを与えることができるかどうかです。
水虫の薬だってワンシーズンで1本つかうかどうかです。それを他店舗に先んじて、売ることができれば、ほかのお店ではそのシーズン中、買いません。
「来週は雨が続いて湿度が80%超が続きます・・足元のケアがより大切です!」ってPOPがあったらどうでしょう?そしてそれが毎年、水虫で悩んでいる人がよく行く売場にあったら・・。
シーズンプロモーションをより深めることができるでしょう。
この売れだす変局点を把握して、他店舗に先んじるMD手法を、
「シーズンファーストバイMD」と言います。
これはさっきの会議で皆さんのお知恵を借りてつくりました(笑)。
食品スーパーさんのセオリーですが、ちかくにライバル店舗がオープンする際、オープン1週間前に特売セールを仕掛け、商圏世帯の冷蔵庫をいっぱいにしてしまう方法と同じです。
季節の走りのときに、初物を見せる感覚にも似ていますね。
皆が買い始める前に、仕掛ける・・これはドラッグストアでも今後重要な戦略でしょう。
虫よけだって、「虫コナーズ90日用」とかありますもんね。一つ買えば、1ヶ月半はブランドスイッチしないわけです。だからいち早く、ターゲットに訴えることができれば、部屋の数分買ってくれるでしょう。
皆が買うころになれば、新規客の奪い合いと、価格競争に巻き込まれます。
たしかに皆が買うころは一見、販売数量が多く、売上も高い。でも利益は価格競争分、少なくなる。
先んじて買いにくるお客は誰なのか?いつそれを店舗でお知らせするのか?
「シーズンファーストバイMD」は値崩れせず、しかも買うべき人が買います。さらに一緒に買う関連購買品目も明らかになれば、買い上げ点数、客単価もアップします。
小売りの世界では「52週マーチャンダイジング」という基本MDカレンダーがありますが、そこに新しい有用な武器を付加していきたいと思います。ただのシーズンプロモーションはどこでもやっているわけですからね。
ただ、気をつけてほしいのは、「何度になったからこれが売れる」ということをしゃくし定規のマニュアルのように考えないでいただきたいということ。
ピップエレキバンでも、気温10度が「変局点」ですが、消費期限ではありませんが、1分1秒すぎたら急に食べられなくなるというものではありません。
あくまでも「変局点」は目安、現場の皆様方の、気づき、思考プロセスによいサジェスチョンができればと考えています。
月刊MDでは、「変局点」リサーチと「シーズンファーストバイMD」の店頭実験も含めて検証していく予定です!
ぜひ関心のあるメーカー各社さん、ドラッグストア企業各社さん、エントリーしていただければと思います。
秋冬商品カテゴリーの募集を開始します。ただし精度追求のため、経年比較検証も行うのであまり数はできません(*スペシャルチームはひとつしかありませんし)。エントリーはお早めに!