メーカーのマーケティング担当、ブランドマネジャーさんとお話しているとほんとうに優秀な人が多いなあと思います。


優秀な人だと思う人は、たいてい「店舗」と「顧客」を重視しています。

とくにグローバル企業のFMCGメーカー(Fast Moving Consumer Goods購買頻度の高い日用品)の方の話は勉強になります。


店舗はメーカーのブランドマーケティング、リテール(小売)のインストアマーケティング、そして顧客のショッパーズマーケティングの連結点であり、「店頭」をメディアに見立て、どのような情報を発信していくかを考えています。


月刊MDでも「店頭起点マーチャンダイジング」の事例検証はメーンメニューのひとつです。


月刊MD6月号では電通さんのショッパーズ・マーケティング部の調査(ショッパー買物行動実態調査:サンプル1万4700名)レポートを掲載しています。


そのレポートによれば、店頭で購入ブランドが左右される率「店頭買い上げ率」はFMCG15カテゴリーで63%あります。


もっとも高いのは、菓子(83%)、ついでノンアルコール飲料(73%)になります。


店頭でブランド決定される率が高いのですが、ノンアルコール飲料なんて、テレビCMがばんばん流れていますね。


これもチェーンストアの歴史のひとつですが、


メーカーさんは、マスコミをつかってGRP(延べ視聴率に対する投資)を投入し、消費者のマインドシェアを高めます。その高さで棚のシェア(シェルフシェア)をとる交渉を行います。ドラッグストアでは棚位置ですね。


一方、小売も自社製造のPBのほうが利益率が高いので、シェルフの一番いい位置に投入したりします。


最近では、お互いが顧客獲得という共通目的のために、「VS(対立)」ではなく「協働」に変化しています。


よって、PBとNBを売れ数によって建前は棚割を決めます。


まあ、戦略的にPBのフェース数が多かったり、リベートが多いブランドを前面に出すのは相変わらずですが・・。


ですが、先の電通さんの調査によると、


FMCG15カテゴリーを買うために費やす時間=滞店時間(棚の前にいる時間)はなんと1分半です。


コンビニもむかしは3分、いまは2分をきるそうですが、それに近づいています。*コンビニはレジ入れてですからね。どんだけ滞店時間短いんでしょ?


ちなみに菓子とノンアルコール飲料は平均36秒。


まあほぼ一瞬で決めるということですね。


ここでメーカーのブランドマネジャーさんがいう、マスプロモーションによるマインドシェアの刷りこみといっても、危ういものです。店頭で目についた2-3の中から選択しているのが実情ですね。


わたしなんかは、ビールや発泡酒を買う場合、女優さんは覚えていてもブランドはまったく覚えていません。カロリーオフとか味とかいろいろあるんですが、ブランド買いじゃなくて女優買いですね(笑)。その意味では、広告会社さんの術中にまんまとはまっているわけです。


いずれにせよ、大変な短い時間で、消費者は商品を選択していることがわかります。


一方で、「店頭買い上げ率」が63%ということは、あらかじめ店舗にくるまえに購入ブランドが決まっている「指名購買率」は実は3割以上あるということなんです。


本日は、ここが本題。


ここは今後もっとも注目すべきところかもしれません。


昨年、月刊MDのシンポジウムで、@コスメの近藤さんと一緒にパネルディスカッションしていただいた東急ハンズの長谷川さんがフェースブックで紹介していましたが、


ソーシャルコマースのもうひとつの解


byflow

http://www.byflow.com/



shopal.jp

http://shopal.jp/


これは、わたしも大注目しています。


指名購買率が高まっていく背景は、まさしくこういう動きが台頭してくるからだろうと思います。


これは単一のメーカー、リテール企業、あるいはグループの協働でブランドを構築していく発想とはまったく異なります。顧客の要望をあつめて商品をつくったり提供するというレベルでもありません。


具体的にはこう進んでいく・・ということは言えないのですが、これらの要素を「店舗」メディア(売場づくり、商品・サービスメニュー、スタッフ能力の総合情報発信力)とリンクさせていく戦略が今後大きなムーブメントになるような気がします。


たしかに「シェルフシェアVSマインドシェア」は普遍的なテーマであり続けますが、


「マインド」形成の部分はソーシャルコマースの発展によって今後劇的に変化し、

当然、「シェルフ」(提供方法)も変わるでしょう。


製配販の関わり合い方ももちろん変わります。


指名購買率が高いカテゴリー分野では、このソーシャルコマースが力を発揮してくるかもしれません。

小売業は、購買行動に影響する環境変化は見逃してはなりません。これらはいずれ、FMCGの世界まで浸透してくる可能性もあるのです。


ソーシャルコマースマーケティングの研究、わたしも遅ればせながらやりたいです。皆さん一緒にやりませんか?