先週は、6月号取材で、ナイスケアの水下さんのご紹介で、
服部万里子先生の月例勉強会にも参加させていただきました。
服部先生は、立教大学コミュニティ福祉学部教授にして、NPO渋谷介護サポートの事務局長を務めていらっしゃいます。
この勉強会には都内の介護ケアマネジメントに携わる方々が参加します。
今回のテーマは「災害とケアマネジメント」でした。
介護の世界も「災後」の対応の在り方を模索しています。
これは医療、介護全般にかかわります。
勉強会では、災害時におけるケアマネジメントを「当該地域」「間接被災地」「集団で移動してきた受け入れ地域」の3つのシチュエーションでどう行うか、具体的なグループ討議が行われました。
救助救命のフェーズでは「トリアージ」になります。
これは「症度対応」です。言い方は難しいのですが、助かる命を優先するということです。
いまは救助から救援、支援継続、復興のフェーズに入っています。
そこで医療対応も、
1)継続医療が必要な人への対応
→透析患者、在宅難病患者、人工呼吸器、酸素吸入必要者などを福祉避難所、医療可能地域への移動
2)避難所における医療
→生活維持と二次災害防止、投薬の継続、低体温、感染症予防、肺炎予防、口腔ケア
3)被災地域における高齢者、障害者、子供など「災害弱者」への支援継続
4)精神的、心理的支援
この4つが当面の課題となっています。
介護ケアに携わる方々は、1)-4)全般に関わります。
高齢者の地域コミュニティにも精通している必要があります。
水下さんによれば、介護関係の協会も地域同士の結びつきというよりは、個人やグループ同士の「普段からの結びつき」でなければ、支援活動ができないと言います。
ブログでも取り上げた野中先生もJTBの清水さんも「地域コミュニティ」主導の新たなスキーム作りが大切だと言っています。
上から目線(政官主導)ではほんとうの支援活動はできません。
このうち、ドラッグストアや調剤薬局は、2)、3)、4)の役割を担えるかどうかでしょう。
服部先生は、「東北の方は我慢強いと言われたりしますが、これをプラス面だけで取り上げることは戒める必要があります。『ものを言えぬ方々』の声をどれだけ拾えるかがとても大切」と言います。
避難所生活の長期化、仮設住宅生活では、気軽な健康診断も不可欠な取り組みと言えます。
出張診断も大切でしょう。
その中で、さまざまな声を拾い上げ、継続支援につなげることが重要ではないでしょうか。
これらは既存の地域医療ネットワークでは対応しきれません。
地域の医師会や薬剤師会や行政がそれぞれの既得権限に固執することなく、柔軟な対応が求められます。
JTBの清水さんの言葉を再びかりれば、
「緩慢な変化が一気にやってくる」のです。
非常事態時に「既得権」を振りかざす行為の愚かさは原発他があからさまにしました。
この期に及んで、法律解釈論を持ち出す人間は、無能と呼ばれる時代になっています。
ドラッグストア店舗はその意味で大きな役割を果たします。薬剤師、栄養士など専門職も備えています。
継続的な健康診断、受診勧奨活動の一端を担うことが期待されています。
東北にもすぐ夏がやってきます。昨年は過去最大の熱中症患者、とくに子供と高齢者が多かった年です。
ことしは電力不足も予想され、広い地域で熱中症は要注意です。
ドラッグストアの店頭でどのような活動が可能でしょうか?
去年の夏とは異なるドラッグストアの役割があると思います。
いろんな知恵を出したいものです。
月刊MDでもさまざまな提案ができればと考えています。