月刊MD5月号では、
今回の大震災を踏まえ、小売業、Dg.Sがどのような社会的使命があるのか。
あらためてアプローチしています。
小売流通業は生活インフラ業であり、ライフラインのひとつといっても過言でありません。
たびたびブログでもお伝えしてきましたが、
ライフラインを守る必死の営業努力こそが小売流通業の社会的使命と考えます。
専門メディアとして、マスコミではなかなか伝わらない真実の記録を伝えることが、
我々の役割のひとつであると考えています。
その中で、月刊MDの常連筆者方々から、このたびの被災地小売業の皆様への応援メッセージをいただいています。
米国在住の鈴木敏仁氏から、届いたメッセージはおまとめに大変なご苦労があったことがしのばれますが、素晴らしいものでした。
鈴木さんのメッセージは、今回の大震災の規模とは比べ物にならないと断りながらも、大災害時の小売業の役割として、超巨大ハリケーンカトり―ナが襲った際にウォルマートがとった行動について触れています。
ハリケーンがニューオーリンズを水没させた翌朝、当時のCEOのリ―・スコットは緊急会議で、
「のんびりした対応はやめよう。われわれの企業規模と企業として受けるインパクトに対して適当と思われる対応が必要だ」と述べ、この時点で200万ドルの義捐金を決定。
しかしスコットは、「1000万ドルにすべきでは?」と会議参加者に問うたという。
結果、義援金は2000万ドルとなり、さらにトラック1500台分の商品を無償で提供した。
ウォルマートの真骨頂は物流で発揮された。
被災地の近隣配送センターに45台のトラックを満載にし、待機させ、搬送物資の拠点にした。
話によれば、センターそばのガソリンスタンドをウォルマート専用として借り受け、社員が自らの車で自由に動き回れるように配慮したという。またセンター長は、自ら陣頭に立って、社員のために1日中、ガソリンを入れ続けたという。
被災地域では、ミニウォルマートを開設。無料で救援物資を配り、避難施設にはネット接続可能なPCを150台提供したという。
これらの動きがスムーズかつ的確になされたために、全米からは賞賛の声があがった。
これに対し、スコットは、
「われわれは連邦政府ではない。しかし我々のレベルでできることをやっただけ」と語った。
しかし、この対応は専ら政府を超えたという評価であり、後に政府批判の声が高まったという。
鈴木敏仁氏はこう結んでいる。
水没した店舗で、ある店長は自分の判断でブルドーザーを持ち込み、使える商品をすべて外に出し、無料で困っている人に提供したという。ウォルマートはその店長を称えた。
これはウォルマート創業者のサム・ウォルトンが常に部下に判断を任せるときにつかった言葉、
「Do the right things」(自分の倫理感や行動規範に照らして正しいと思うことをせよ)。
この文化が息づいていることこそがウォルマートの本当の強さではないか。
優れた小売業は、非常事態時、政府機関を超えた活動でライフラインとして機能するものなのだと。
このフレーズは、いま被災地でがんばっている小売業の皆さんを勇気づけるに違いない。