月刊MDの読者企業様もいまだ安否不明の社員、パートの皆様が数百名単位でいらっしゃるとのことです。
想像を絶する状況です。
1日もはやく安否確認ができることを願っております。
月刊MDの筆者より下記メールの転送がありました。
12日より被災地入りしている医療関係者(九州大学N氏)からの報告です。
ドラッグストア、薬局の皆様と共有できればと思います。
→ここからです。
報告2
まず、私にとっていわき市は初めての土地でして、当然地名と名称が全く一致しません。そのため地元の方と一緒に回ることで、細かい情報を頂くことが出来ました。視察で回りました避難所はいずれも高い医療ニーズがありました。
避難所の有用人数は200人―2700人と非常に幅があります。また高齢者が多く、多くの方が持参薬を持って逃げることも出来ませんでした。私が調査した時点で、災害発生後48時間以上経過しており、定期処方が切れてしまった方、服用できなかった方が多数おります。
症例を幾つか提示します(内容は一部修正しております)。
ケース1 80歳女性 30名が収容する避難所での滞在が2日目であった。津波から逃げており、持参薬や薬手帳をすべて無くしてしまった。複数の内服があ り、「血液サラサラ」も服用していたとのこと。意識清明で起立歩行可能。持参したワーファリンのシートを見せると、「これを3つ飲んでいた」とのこと。薬 剤師と相談し、1週間分臨時で処方。内服方法について家族に注意を与えた。
ケース2 70歳男性 循環器疾患あり、複数の降圧薬を内服。避難所を視察していたところ、呼び止められ、「薬が切れた。ほしい」とのこと。自覚症状を確 認すると、頭が痛い・気分が悪いとのこと。血圧計を持ってこなかったため血圧測定できず。内服の詳細を確認するも、興奮して話をするため十分な情報収集で きず。硝酸薬の処方を検討したが、血圧測定できないため、家族と相談し明日以降の救護所活動で確認することを約束し、避難所を撤収した。
ケース3 39歳女性 福島第2原発近隣の住民で3月12日いわき市に自主避難した。しかし、飼い犬を置いてきたため3月13日自宅に戻ってしまった。風向きによる被ばくを心配され、被爆測定してほしいとの依頼があった。
避難所の視察では足を止めると、上記のような相談を受けてしまい身動きが取れなくなってしまいました。
従いまして、3月14日からはいわき市医師会とも相談しまして、救護所での内服処方を中心に活動を行い、同時に隠れた重篤な疾患にり患された方を探していきたいと考えております。
処方箋作成後、薬剤を手渡しするのか、あるいは営業を再開した薬局に行ってもらうのか、事務処理、処方日数、足りない薬品の扱いなど、検討すべきことが沢山あります。ただし一部の処方箋作成は地元の開業医の先生方にして頂けました。
3月13日は夜10時までかけて8か所の避難所を回るのが精いっぱいでした。自動車の総走行距離数は1日で200kmで、自動車のガソリンが底を尽きて来ました。
本日回った地域では、上下水道はストップしております。電気は使えました。携帯電話の接続は不良で、インターネットについては持参したpocket wifiは使用できました。役場や大きな施設でもインターネットは動いておりました。
被災後2日の時点で、私が見て来ました被災者の方々は様々な不安や訴えがありましたが、今のところ冷静で落ち着いており、状況も良く理解しておりました。しかし今後の見通しのなさを悩んでおりました。
また今から被災地に医療活動をする先生方もいらっしゃると思いますので、幾つか気付いた点を列記します。
1.東北各県での医療活動に従事する予定の方は、事前に放射性被ばくについてよく確認をして下さい。
2.ライフラインそしてインフラは停止しております。自分用の食料と水は現地調達も可能だと思いますが、持参が望ましいです。
3.地元医会をはじめ、地元の方が地域の詳細な情報を持っております。一緒に連携して活動することが不可欠です。
4.今回の災害は、地震+津波+被爆という、過去に例の診ない複合型災害で、前例がありません。様々な場面で難しい判断が求められると思います。
5.おそらくこれから長期間にわたって継続的な災害医療支援が必要だと思います。
乱文乱筆ご容赦ください。可能な限り情報発信を続けたいと思います。