もう10年以上前になりますが、慶應の金子郁容先生の「ボランティア」を読んだ時は衝撃的でした。


松岡正剛先生も「ボランタリー経済の誕生」で、「ボランタリーの持つフラジャイルな力こそ強い」「情報はひとりでいられない」といった指摘をそこかしこでされていました。


いまは文部副大臣になってしまいましたが、金子先生が当時幼稚舎にうつるにあたって後釜となった元経産官僚だった鈴木寛先生には、駆け出しの編集者だったころ、何回かインタビューさせていただきました。(*そういえば場所はいつも赤坂の編集工学研究所でしたね)


親しい先輩が金子研究室にいた関係で、ご紹介いただいたのですが、当時は、日本でようやく楽天の勃興期であり、アマゾンなどもこれからどうなるか・・みたいな時期でした。90年代後半ですね。


わたしは、個人ネットショップなどの勃興期を目の当たりにし、当時は繁盛ネットショップを数多く取材しました。


でも単なる繁盛店取材ではなく、将来像、マクロ的なアプローチ、情報ネットワークとリテール、サービスのあり方について視点がほしく、先輩を頼ったのですが、そのとき金子先生、鈴木先生から授かった視座はいまも生きています。


というよりそのとき理解できなかったことのいくつかが、いま現実化しているという表現のほうがあたっています。


その意味では、学問というのはけっして無力ではないなあと(by エロイカ)。


さて、月刊MD2月号で紹介したケアプロの川添高志さん。



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彼もまた慶應の看護医療学部の出身で、ワンコイン検診のメディカルベンチャーを立ち上げた人物。


ワンコイン検診はご存じの方も多いですが、主婦や、フリーターなどなかなか医療機関で検診を受ける機会が少ない層に、ワンコイン(500円)から検査を受けることができ、のべ約4万人が利用しています。


国民皆保険制度のある中で、じつは保険証も持たないひとたちがこのニッポンに確実に存在し、増えています。


この医療弱者を救い、日本の医療インフラの底支えをするというのが彼のビジョン。素晴らしい志です。


そんな彼の会社が、「チャリティ検診」をはじめました。


これは、ある企業で有料検診をおこない、それをホームレスなどを支援するNPO法人につかってもらい、経済的事情で検診ができない層への検診、さらには受診勧奨をおこなうというものです。


社会貢献には、いろいろな形がありますが、検診を受けることで、社会貢献できるというモデルです。


この「従業員が参加しやすい寄付プログラム」は、まだまだ小さな取り組みですが、


まさにボランタリー経済のひとつの類型でしょう。



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常設店舗はこれまで中野のブローウェイにしかなかったのですが、最近はイオンさんのショッピングセンター内などに出店しています。


Dg.S企業もこういうサービスとコラボすることが益々重要になってくると思います。


それにつけても、「ボランタリー経済」・・。


ソーシャルネットワーキングの時代にあって、さらにそのモデルの発展形態は多様化するような気がします。


その中で、リアル店舗のビジネスをどう位置付けるか。


あらためて新しい視点を獲得すべく勉強したいですね。