お隣の韓国は日本のいわゆる「医薬品+化粧品+家庭雑貨+食品」というドラッグストアは多くありません。
日本より厳しいと言われる薬事法で、医薬品販売は「1店舗1薬剤師」に限られ、医薬品(調剤含む)を同一チェーンでもこの原則からはずれた多店舗展開ができないからです。
よって化粧品メーカー直営のブランド店が伸びました。最大手アモ―レパシフィックが展開する「アリタウム」は1000店舗以上あり、「ザフェイスショップ」や「スキンフード」といったブランドは日本からも多くの観光客が買物に行きますね。IKKOさんが火をつけた(?)アモ―レが展開する「エチュードハウス」などチープコスメの分野もいまは第三世代に突入しており、様々なブランドが立ちあがっています。
そういう中で、ドラッグストアは後発の業態という位置づけです。
CJグループ(韓国財界17位)が展開する「オリーブヤング」は現在韓国ナンバーワンのドラッグストアです。現在は100店舗足らずですが、若い女性中心に支持を集め、客数を伸ばし、フランチャイズ制度を導入して早期に300店舗体制を確立する予定です。
またCJグループは、テレビ通販大国韓国における2強のひとつ「CJOショッピング」を展開しています。
売上規模は1500億円程度。CJグループ本社に24時間対応のスタジオが設置されています。
アパレルから化粧品、キッチン用品まで複数のスタジオで準備しています。
商品も次々と運び込まれます。化粧品やコスメ雑貨は、同じグループの「オリーブヤング」でも展開して、テレビ通販と店舗のクロスメディア戦略を進めています。韓国はネットよりもテレビ通販チャネルが圧倒的です。
モニタールームでは、各メーカー担当者が受注状況をチェックし、他チャネルをリアルタイムでモニタリングします。たとえば人気ドラマのCMの間に、流れをみて打ち出し方、演出を変えるなど、細かな指示がでます。
オフィスでも、テレビ通販は人気です。
日本でも米国のQVCが進出していますが、テレビ通販は中国をはじめ、東南アジア諸国のほうが先にブレイクしそうということで、設備投資、資金投資が進んでいますね。
日本では、ZOZOTOWNがテレビCMを打ってみたり、百貨店のなかに楽天やヤフ―のセレクトショップなどが出店して「ネット×リアル」の話題となっていましたが、これからはそういうレベルにとどまらずインターネットテレビが本格化する中で、リアル店舗とネット(TV)のクロスメディア戦略も益々進化しそうです。
ある日本のローカルテレビ局の通販ショッピングが少しずつですが、化粧品などに力を入れて、支持を広げつつあります。ここに地域でドミナントを築くドラッグストアが組んでも面白そうです。
ドラッグストアもある意味でマスCM、番組依存の売場づくりから脱却して、店頭とテレビ通販、ネットコミュニティなど複数のメディアを効果的にクロスさせ自ら仕掛ける「売り筋」をつくる時代です。
むかしの「あるある大事典」じゃないですけど、「テレビで紹介された」「いま話題の・・」という他者依存の「売れ筋」探しのMD、売場づくりに終始すれば、価格競争だけが残り、どこも似たような売場になります。
いまはそれが大きな比重を占めており重要だと思いますが、次世代を見据えたクロスメディア戦略も考えていく必要があるのではないかと思います。
韓国のCJグループのクロスメディア戦略はその意味で、注目すべきビジネスモデルです。同社の海外進出パッケージとしても有望でしょう。