きのうは、夕方より月刊MD主催の第2回「売り方開発コンクール」の審査会が行われました。
ふつう業界誌と言われる雑誌では、メーカーさん主導の「大量陳列コンクール(略して大陳コンクール)」という企画はありますが、「売り方開発」というのは珍しいと思います。
「大陳コンクール」は特定商品を売場に積んで、いかにPOPがわかりやすかったり、飾り付けが派手だったり(笑)、カラーコントロールがうまかったり・・そういう「見た目」中心の審査基準ですが、
月刊MDの売り方開発コンクールは、複数商品を組み合わせて、お客様の新しいニーズを引き出す、あるいは潜在需要を開発して、POSデータによる検証で、1ヶ月間の販売数量(対前月比)まで考慮して審査します。よって、単なる見た目だけの自己満足的売場では評価されません。
またこのコンクールは、売場づくりにかけた思い、仮説も重視されます。お客様にほんとうに使ってもらえる売場になっているか、リピートしてもらえる売場になっているか、そういう思いをぶつけてもらっています。
第2回テーマは「ライトトレーニング」。これはちょっと抽象的テーマでしたが、
「ダイエット、あるいは健康維持のために楽しくセルフコントロールできる」
「せっかく運動するなら効率的に燃焼させたい」
「これなら運動を続けられそう」
「日ごろのウォーキングももっと楽しくしたい」
「日ごろは運動しないけどやってみようかな」
「運動後のケアやリラックスも大切よね」
「駅まで歩いてみようかな」
などなど、お客様に思わせる売場がたくさん集まりました。
今回のエントリー店舗は約130店舗。第一回より30店舗ちかく増えました。参加企業もあらたに、スギ薬局さん、ウェルシア関東さん、ザグザグさんなど6社増えました。
審査を担当していただいたのは、月刊MDの強力連載陣にしてドラッグストア業界を代表する実務コンサルタントの先生方です。松村先生、有田先生、新川先生、あとは特別審査員としてPOPの第一人者石川香代先生です。
2時間近くにおよぶ議論の中、グランプリ候補4店舗と各審査員賞を選んでいただきました。皆様、年始のお忙しい中、ほんとうに有難うございました。
このコンクールは全国のドラッグストア各店舗からデータが届きますので、ウェブ上ですべての実務を行います。企業単位でまとめていただいた売場写真と各データが事務局に届けられます。もうひとつの特徴は、エントリー期間中に、審査員と編集部から直接レクチャーを受けられる「ウェブ道場」という機能があります。ネットの双方向性を生かした試みで、現場の方に好評です。
企業単位参加が原則ですが、今回は月刊MDを読んで個店判断で参加したいという店舗も出てきました。スタッフ一同感涙ものです。なのであえてお名前を出します。ツルハドラッグの北見メッセ店の店長様、すばらしい売場づくりでした。
こういう売場コンクール、コンテストは自社内やグループ企業内でよく行われています。でも複数企業が同じテーマで参加するコンテストはメーカーさん主導であればありますが、小売り主導では例がすくないと思います。
「売り方」開発ですから、「A商品とB商品を組み合わせて、ゴンドラエンドの上段に3週間展示し、こういう内容のPOPをつけて価格を設定すれば定番棚よりA商品の買い上げ率が5ポイントあがる」なんてノウハウは本来見せたくないですよね。
でもこのコンテストはそういうところまで追求するのが目的です。そのノウハウを積み重ねて業界の共有知にしたい。これが月刊MDの役割です。共有知をプラットホームにして、「ちょっとした運動はじめたい=ドラッグストアへいこう」という目的来店を一般消費者に認知させ、そのうえで企業独自のMDを付加していく・・そんなことが実現できればと思います。
第1回コンクールの準グランプリ店を輩出したレデイ薬局の豊島さんは、こうおしゃってくれました。
「社内試合はいつでもできます。でも他流試合はなかなかできません。そういう意味でもこのコンクールは育ってほしいですね。たとえば新人戦というのもあっていいでしょ。3年目くらいの新人が座学でMDとか相乗積とか棚効率という言葉を学んで、じゃあ売場をつくってみようというときに、やらせてみるきっかけになります。そのとき全国各地の素晴らしい企業の同じ3年選手同士がその能力をぶつけあうなんて考えただけでワクワクしますよ。売場づくり甲子園みたいなものになるといいですね」。
まだまだコンクールは不備もあり発展途上で、参加店舗、企業、現場の皆様にはなにかといらぬご負担をかけているのではないかと思いますが、こういう声を肥やしにして少しずつですが改善して頑張っていきたいと思います。
審査結果は2月20日発売の月刊MD3月号と弊社ホームページにて発表します。