横浜川崎を中心に「Fit Care DEPOT」を展開しているカメガヤさんの物流センターを訪ねました。
ここは、医薬品、化粧品、グロサリーのトランスファーセンターで、メーカー、ベンダーからここに納品し、60店舗に配送されます。
とてもシンプルな構造で、発注データと納品、出荷情報は、すべてペーパーレスで共有され、店着の検品もありません。店舗はバックヤードがなく、そのまま売場通路へ夜間納品されます。店舗作業が大幅に減り、高い生産性を実現しています。
この受発注システムをつくったのは、東大大学院で航空宇宙学を専攻された鈴木さん。野村総研を経てカメガヤさんでシンプルで合理的な店舗、センター設計を行いました。小売りの世界ではとても珍しい存在です。
そういえば、小売流通の世界に入る前、わたしは工学系の専門出版社にいましたが、そこで、航空宇宙技術研究所(現JAXA)の部長をされていた高原北雄先生に、「ロシアの研究者とコラボレーションをしたとき、驚いたのは、ロケットのコンセプトをつくるときは、流体力学、材料工学など様々な専門分野のトップエキスパートをたくさん集めるのではなく、分野トップを2つ以上持つ5人で決めて、各専門分野のエキスパート100人におろしていく」と伺ったことがありました。コンセプトをつくるときは専門バカはいらないということですね。
流通のサプライチェーンも一緒で、受発注管理から売場設計、配送、センターづくりも部分最適でなく、全体最適でつくらなければシンプルかつ強い構造はつくれませんね。
最近はユニクロさんやニトリさんも理系の優れた人材をスカウトすべく、産学連携を深めています。新薬の世界は大変ですが、オペレーションや工学知な分野への投資は面白いと思います。ちなみに私がときどきお世話になっている東大工学系大学院システム創成学の大澤先生も「リテールマーケティング」に不可欠な技術ツールを開発されています。しかもゲーム感覚でできる優れモノです。興味ある若手経営者の皆さんとやってみると面白いだろうな。
カメガヤさんの記事は、月刊MD2月号(1月25日発売)に掲載されます。お楽しみに。