- 手紙 (文春文庫)/東野 圭吾

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東野圭吾は何作か読んだことがあります。
軽めのミステリー作家というイメージがあったのですが、
本作は違います。はっきり言って打ちのめされました。
強盗殺人の罪で服役している兄を持つ主人公の人生を描いたものです。
つまり、犯罪の加害者の家族の人生がテーマになっています。
言うのは簡単ですが、よくここまで書いたものだ、と思い、
突きつけられたことの重さに、自分自身を見つめ直すことを強いられました。
誰もが、自分は差別感情などない、公平な人間だと思っている。
罰せられるべきは犯罪者本人のみであり、その家族は関係ない…それもわかっている。
しかし、出来れば関わりを持ちたくない、近づきたくないというのが本心であり、
それこそが差別の本質なのだと、この物語は訴えかけているのですね。
事実、そうした感情のために、主人公は幸せを次から次へと失っていく。
しだいに疑心暗鬼になり、人生に諦念していく主人公なのですが…。
こう書くと、ただただ救いのない話のようですが、そんなことはないですよ。
今は「号泣必至!」なんていう、さあどうぞ感動してください、なんて感じのものが流行っているようですが、
そんなものよりも、この物語は読者の魂を、根底から揺さぶること請け合いです。
東野圭吾さんがなぜあんなに売れっ子であり続けられるのか、よーくわかったような気がしました。