その日、公園にバギーで連れて行っても、地面に座ってボーっとしている感じだった。
(「魂ここにあらず」という感じだったね、とあとから妻と語り合った)
下痢が続き、
ワクチンのためもあって病院に連れて行ったら、やはり大人しい。
いつもは病院が嫌いで、診察台でブルブル震えてしまうのに。
先生、体をチェックしたあとで、「ワクチンは打たなくてもいいと思います。リスクもあるので」
下痢が続いていることに関しては、「下痢止めを出しましょう」。
血液検査などをすれば、他にも悪いところが見つかるかもしれないけど、
積極的な治療は年齢的にも無理だろうと。
フィラリアの薬は、半期分だけもらってきた。
帰りにコンビニで買ったペット用の缶詰をトッピングしたら、ガツガツ食べた。
もっと早くあげればよかったね、などと妻と話した。
家から1、2分の仕事場に戻ったら、小学校6年生の息子から電話。
「○○○が死んじゃう、早く帰ってきて」
すでに半泣きの声。
首を後ろに反らしたまま硬直した体。
食べたばかりのものを2回嘔吐した。
数時間後、時間が経っているので意味がないかと思ったが、低血糖の発作を疑って砂糖水を口の中に入れた。
下痢続きで、体重が激減していたから。
日付が変わる頃、事切れた。
その瞬間はわからない。
妻はソファで寝てしまい、気づいたら……という状況だったという。
朝5時には葬儀屋に妻が電話して、その日のうちに火葬することに。
死の床についてから一日もたたないうちに骨になったが、それでいいと思った。
もう、そこに○○○はいないと思ったから。
耳はずいぶん前から聞こえなかったが、数日前から目もほとんど見えなかったようだ。
水を飲むのに、水面の高さを鼻でおそるおそる確かめるようになったのだ。
1~2カ月前から、時々ガウる同居犬の気配をそばに感じるとやたら吠えるようにはなっていた。
というより、原因もわからず吠えるようになった。
妻が仕事部屋に連れて行っても吠えるので、相当持て余していた。
視力の低下で、不安を感じていたのだと思う。
自分を呼ぶ声が聞こえず、目が見えなくて不安で。
生きていてつらい状況だったと思う。
しかし、死の直前は生命力が抜けていくとともに、そんな感情も低下していったように感じる。
準備が整った、ということなのだろう。
昨日、同居犬の血尿で病院へ行った。
ダックスが死んだことは医師に電話で報告済みである。
背中を反らす症状は、「後弓反張」だろうと言われた。
脳の障害で起きた症状だろうと。
妻が、早く下痢の治療をしたら、少しは長生きしたでしょうかと聞くと、
死の原因との関連性はないでしょうと。
神様が定めた寿命というものがあり、空調の効いた部屋で亡くなったのだから、幸せでしょうとも。
そういえば、前回訪れた時も診察中に、死は誰にでも訪れるものだから怖いものではないと言われた。「大丈夫ですよ、みんな死ぬんですから」というような表現だったか。
多くの患畜の死に立ち会ってきた医師だから、
○○○の様子を見て「わかって」いたのだろう。
下痢と食欲不振。一週間ぐらい続いたろうか。
粘液状で血が混じった便も何度かしていたが、どうにも仕事が忙しくて病院へ連れていけなかった。
悔いが残らないかといえば嘘になる。
後弓反張の状態になった時、体を動かすことは怖くてできなかった。
また、あきらめの気持ちもあった。その日が来たのだと。
その後、半日生きていたことを考えると、病院へ連れて行く選択肢もあったと思う。
死後、してやれなかったことを人は思うものだというが、本当だ。
だが今は、楽しかったことだけを思い出したい。
骨壷の横には12年前、6歳の時の写真を飾った。
濡れて砂の付いた顔は、笑っている。
(「魂ここにあらず」という感じだったね、とあとから妻と語り合った)
下痢が続き、
ワクチンのためもあって病院に連れて行ったら、やはり大人しい。
いつもは病院が嫌いで、診察台でブルブル震えてしまうのに。
先生、体をチェックしたあとで、「ワクチンは打たなくてもいいと思います。リスクもあるので」
下痢が続いていることに関しては、「下痢止めを出しましょう」。
血液検査などをすれば、他にも悪いところが見つかるかもしれないけど、
積極的な治療は年齢的にも無理だろうと。
フィラリアの薬は、半期分だけもらってきた。
帰りにコンビニで買ったペット用の缶詰をトッピングしたら、ガツガツ食べた。
もっと早くあげればよかったね、などと妻と話した。
家から1、2分の仕事場に戻ったら、小学校6年生の息子から電話。
「○○○が死んじゃう、早く帰ってきて」
すでに半泣きの声。
首を後ろに反らしたまま硬直した体。
食べたばかりのものを2回嘔吐した。
数時間後、時間が経っているので意味がないかと思ったが、低血糖の発作を疑って砂糖水を口の中に入れた。
下痢続きで、体重が激減していたから。
日付が変わる頃、事切れた。
その瞬間はわからない。
妻はソファで寝てしまい、気づいたら……という状況だったという。
朝5時には葬儀屋に妻が電話して、その日のうちに火葬することに。
死の床についてから一日もたたないうちに骨になったが、それでいいと思った。
もう、そこに○○○はいないと思ったから。
耳はずいぶん前から聞こえなかったが、数日前から目もほとんど見えなかったようだ。
水を飲むのに、水面の高さを鼻でおそるおそる確かめるようになったのだ。
1~2カ月前から、時々ガウる同居犬の気配をそばに感じるとやたら吠えるようにはなっていた。
というより、原因もわからず吠えるようになった。
妻が仕事部屋に連れて行っても吠えるので、相当持て余していた。
視力の低下で、不安を感じていたのだと思う。
自分を呼ぶ声が聞こえず、目が見えなくて不安で。
生きていてつらい状況だったと思う。
しかし、死の直前は生命力が抜けていくとともに、そんな感情も低下していったように感じる。
準備が整った、ということなのだろう。
昨日、同居犬の血尿で病院へ行った。
ダックスが死んだことは医師に電話で報告済みである。
背中を反らす症状は、「後弓反張」だろうと言われた。
脳の障害で起きた症状だろうと。
妻が、早く下痢の治療をしたら、少しは長生きしたでしょうかと聞くと、
死の原因との関連性はないでしょうと。
神様が定めた寿命というものがあり、空調の効いた部屋で亡くなったのだから、幸せでしょうとも。
そういえば、前回訪れた時も診察中に、死は誰にでも訪れるものだから怖いものではないと言われた。「大丈夫ですよ、みんな死ぬんですから」というような表現だったか。
多くの患畜の死に立ち会ってきた医師だから、
○○○の様子を見て「わかって」いたのだろう。
下痢と食欲不振。一週間ぐらい続いたろうか。
粘液状で血が混じった便も何度かしていたが、どうにも仕事が忙しくて病院へ連れていけなかった。
悔いが残らないかといえば嘘になる。
後弓反張の状態になった時、体を動かすことは怖くてできなかった。
また、あきらめの気持ちもあった。その日が来たのだと。
その後、半日生きていたことを考えると、病院へ連れて行く選択肢もあったと思う。
死後、してやれなかったことを人は思うものだというが、本当だ。
だが今は、楽しかったことだけを思い出したい。
骨壷の横には12年前、6歳の時の写真を飾った。
濡れて砂の付いた顔は、笑っている。