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ー前略ー
1989年にピークをつけたバブル経済が崩壊して以降、「日本はダメだ」というムードが国内で蔓延(まんえん)した。その後のデフレ進行はさらに日本を苦しめた。

だが、日本人、日本企業、日本政府がその間何もしなかったわけではない。2019年に「投資の神様」ウォーレン・バフェット氏が日本の五大総合商社のまとめ買いを始めたことに象徴されるように、海外の目鼻の利く人々は、「日本の素晴らしさ」に気が付いた。

偏向メディアが「日本はダメだ」というプロパガンダを大量に流している影響もあって、日本の素晴らしさに気が付いていない日本人が多いことは残念だ。

米大手旅行誌「コンデナスト・トラベラー」が昨年10月に発表した読者投票ランキングの「世界で最も魅力的な国」で日本が第1位に選出された。世界最大規模の世論調査会社イプソスも、「国家ブランド指数2023」の第1位に日本を選んだ。

「観光」や「文化」だけではない。日本の政治的安定性や治安の良さは外国人の垂涎(すいぜん)の的である。米国や欧州では、商店街での略奪や放火、パトカーをひっくり返して燃やすような「暴動」は珍しくないが、日本では「皆無」と言ってよい。また、米国の殺人発生率は日本の約30倍にも及ぶ。

そして日本の「安心・安全」という長所が、地政学リスクの高まりなどによって「経済的価値」を持つようになってきている。最近、中国の中枢にいる人々の「家族・一族」が日本にやってくるケースが目につくようになってきた。もちろん、中国本土で何かあれば「本人が逃げ込む」ためである。

バフェット氏だけではなく、世界中の投資家が日本の素晴らしさに気が付き、資金が流入を始めている。いくら土地や株式の値段が上昇しても、その土台となる「国家」が崩れ去ってしまっては、何の意味もないからだ。

米国は11月5日に大統領選の投票日を迎える。ジョー・バイデン大統領とドナルド・トランプ前大統領のどちらが勝利しても、米国の政治は不安定となる。「第2次南北戦争」と表現しても過言ではないような混乱もあり得る。

バフェット氏ら多くの賢人が指摘しているが、米国の不動産や株式の「バブル」は、日本のバブルピーク時の1989年に酷似しているという。欧州や新興国もインフレなどの大きなダメージを受け、まさに「日本以外全部沈没」と筆者は考える。

過去の世界的危機の際には、ドルが「質への逃避」を急ぐ資金の逃げ込み先となった。今回は、世界で最も「安心・安全」な日本にマネーが流れ込むことになるはずだ。

そうはいっても「今は円安ではないか」との指摘もあるだろう。だが、為替相場を合理的に説明するのは困難だ。

1985年9月に先進5カ国(G5)の蔵相・中央銀行総裁による「プラザ合意」が発表された。
前日の円相場は1ドル=242円だったが、一気に円高となり、88年の初頭には1ドル=128円まで進行した。その後、バブルが崩壊して日本が「失われた30年」に突入したにもかかわらず、さらに円高傾向が続いた。

過去最高の円高となったのは、2011年10月31日の1ドル=75円32銭だった。東日本大震災直後かつアベノミクスが始まる前の「日本の一番暗い時代」だったといえる。

一方、1990年代前半から繁栄を謳歌(おうか)してきた米国は、四半世紀にわたり、円に対して「ドル安」だった。現在の「円安」も同じ兆候かもしれない。

一つだけ懸念されるのは、日本の財産ともいえる「安心・安全」が、海外からの「不法侵入者」によって破壊されることである。そうならないよう、われわれは万全の注意を払うべきである。
 

■大原浩
全文はソースから
https://www.zakzak.co.jp/article/20240513-CD2HOCF46FMPVLJTEVTYYD3VAE/

 

NOと言える日本人も再び願う。