ロシアでは9日、ウクライナでの「特別軍事作戦」の開始以降3回目となる、第二次世界大戦の対ドイツ戦勝記念日を迎えた。国内各地で式典が催され、モスクワ中心部の「赤の広場」では恒例の大規模な軍事パレードが実施された。

 

プーチン政権にとって、過去の勝利を強調することで、愛国心を鼓舞し国威を発揚する重要な場となっている。

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プーチン氏は演説で、地球規模での対立を避けるために「全てのことをする」と述べつつ、「ロシアを脅すことは許さない」と強調。核兵器の運用部隊は「常に即応体制にある」ともアピールした。対立するウクライナや欧米をけん制した形だ。  ロシアでの報道によると、パレードには特別軍事作戦に従事した兵士らも含めて、軍人ら9000人以上が参加。大陸間弾道ミサイル「ヤルス」なども披露され、核戦力を誇示した。

ただ、パレードに登場する兵器などの数は昨年の125台から75台へと大幅に減り、ウクライナとの戦闘が続く中で、規模は年々縮小している。  昨年の式典には、旧ソ連諸国からベラルーシ、アルメニア、中央アジア5カ国の計7カ国の首脳が参列し、ロシアが勢力圏とみなす地域の結束をアピールする場となった。 

 

 しかし、今年は対露関係の悪化が指摘されるアルメニアのパシニャン首相が事前に欠席を表明。背景には、昨年9月に隣国アゼルバイジャンがアルメニア系勢力の支配していた係争地ナゴルノカラバフを軍事制圧した際の、ロシアの対応への不満があるとみられる。  記念日に先立ち、モスクワ市内では、前線でウクライナ側から奪った戦車や軍用車両などの市民向けの展示も行われた。戦果を強調し、さらなる攻勢へ向けて国民の団結を図る狙いがあるとみられる。