イスラエルが19日、イランにミサイルで反撃した。米メディアが米政府当局者の話として伝えた。イランのメヘル通信は19日、中部イスファハン州の空港周辺で爆発音が聞こえたと報じた。イスファハン州ナタンズには核施設があるが、イラン国営テレビは、核施設は被害を受けておらず、無傷だと伝えた。 イラン革命防衛隊の高級幹部は、イスラエルによるイランの核施設への攻撃が行われた場合、同様に核施設に反撃を加えると宣言している。

 

イスラエルが今後、核施設への攻撃が実行された場合、核物質による汚染が拡散するリスクもある。エネルギーの多くを中東に依存する日本も影響はまぬがれない。 「われわれの核施設に行動を起こすならイスラエルの核施設も攻撃を受ける」「最新兵器で攻撃するだろう」 イスラエルの核施設攻撃に言及したのは、革命防衛隊で核施設防護などを担当するアフマド・ハグタラブ司令官。同隊に近いイランメディア「タスニム通信」が伝えた。 ハグタラブ氏は「イランの核施設に(攻撃の)行動を起こすなら、イスラエルの核施設も攻撃を受ける」「イスラエルの核施設は特定した。イランの核施設は万全な防護態勢だ」などと宣言した。 

 

イランは核兵器保有の意思を否定しているが、ハグタラブ氏は「核政策の見直しは可能」と述べ、イスラエル側を強く牽制(けんせい)した。 両国をめぐっては1日、シリアのイラン大使館がイスラエルの空爆を受け、革命防衛隊の高級幹部らが死亡した。 革命防衛隊は14日、イスラエルを大量のドローンやミサイルで攻撃。イラン側によるイスラエル本土への明確な攻撃は史上初で、イスラエルは反撃を宣言している。 米紙ウォールストリート・ジャーナルによると、イラン空軍は空爆を警戒し、海軍は紅海で自国商船の護送準備に着手した。革命防衛隊や幹部らも、シリアの拠点から退避を始めたという。 

 

軍事ジャーナリスト、黒井文太郎氏は「両国とも戦争のリスクや負担は避けたいのが本音で、さまざまなチャンネルでメッセージを発信し、事態の収拾に動いている。ただ情勢は不透明で何が起こるか予想できない。イランはイスラム革命を目指し、反イスラエルが国是だ。イスラエルも建国以来、周囲を敵に囲まれ必死に生き延びてきた。攻撃を受ければ必ず反撃するのは両国のアイデンティティーだ。ボタンの掛け違いで紛争が拡大すれば、エネルギー価格の上昇などで日本も影響を受けるだろう」と語った。