◇トゥスクEU大統領が首脳会議後の記者会見で明らかに
【ブラチスラバ八田浩輔】欧州連合(EU)のトゥスク欧州理事会常任議長(EU大統領)は16日夜(日本時間17日未明)、離脱を決めた英国を除く27加盟国が集まった首脳会議後の記者会見で、メイ英首相から正式な離脱通告について、「来年1~2月にも」行う用意が整うとの説明を受けていたと明らかにした。
英国はこれまで、離脱交渉の具体的な開始時期について明らかにしていなかった。首脳会議はスロバキアの首都ブラチスラバで行われ、難民・移民対策の一環として域外国境管理の強化などを柱とする重点政策を掲げた行程表を取りまとめたほか、27加盟国の結束強化を誓う「ブラチスラバ宣言」を採択して閉幕した。
離脱交渉は、EUの基本条約が定める英国からの法的な通告を受けて、原則2年を限度に行われる。トゥスク氏は今月8日にロンドンでメイ首相と会談した際に通告時期について報告を受けたという。
交渉は困難が予想されることもあり、離脱通告は、来年春に予定されているフランス大統領選や来秋のドイツ総選挙など、EU域内の大型選挙の結果を見極めた後に行われるとの臆測もあった。一方でEU側は、欧州経済の先行きの不確実性への懸念から速やかな交渉開始を求めており、メイ首相の「説明」を公にすることで、英側の「逃げ道」を塞ぐ狙いもあるとみられる。首脳会議では、正式な通告を受けるまでは水面下も含めて一切の交渉を行わない姿勢を再確認した。
ブラチスラバ宣言は、加盟国間や市民との「対話」を重視する姿勢を強調した上で、EUの出発点にあたるローマ条約締結60周年を迎える来年3月に向けて「市民が信頼、支持できる魅力あるEUの将来像」を提示することを誓った。