2月15日に日本記者クラブで行われた記者会見では、ゲストの杉本和行・公正取引委員会委員長に
“押し紙が横行している”旨の質問が切り出された。

「押し紙」とは、新聞社が部数水増しのため販売店に注文させて買い取らせる新聞のこと。

会見からひと月あまり後、販売店からの「注文部数を減らしたい」という申し入れに了承しなかったことで、朝日新聞社が公取から口頭で「注意」処分を受けるという事態が起きていた。 仮に朝日新聞の発行部数の30%が「押し紙」であれば、その数は約200万部となり、朝日は最大で収入の約27%を失うことになる。
新聞社の最大のタブーである「押し紙」行為に手を入れられ、朝日の社内に大きな衝撃が走ったという。

これらの動きは、他の大手紙にとっても、決して「対岸の火事」ではない。さる全国紙の販売店主が言う。
「販売の点から言えば、朝日はむしろ穏健というのが定説です。他の大手紙でも大幅な『水増し』があっても、まったく不思議ではありません」

実際、各紙の販売店主に聞いてみると、「うちの店は、最大で40%を超える『水増し分』があった」(近年廃業した都内の元読売販売店主) 「私のところも約2割はありました」(同じく近年廃業した都内の元日経店主) 新聞販売問題について詳しい、ジャーナリストの黒薮哲哉氏によれば、 「私のところに最近来た相談では、関東の産経の店主で、水増しが約26%、毎日に至っては約74%が配達されていなかったという、信じがたい店がありました」

もちろん、これらの数字が各社の一般的なものではなかろうし、それが「押し紙」であるのか、あるいは、「積み紙」(「折込チラシ」の代金欲しさに、販売店が実売より多い部数の新聞を注文すること)の性格が強いのかは、判然としない。

しかし、問題はこうした異常な水増し部数を抱えた店が頻繁に見られること。
実際、“新聞界のドン”読売グループ本社の渡邉恒雄会長自らが、今年の東京管内の販売店新年総会で、 「不要な予備紙の整理が必要」と述べているように、割合はともかく、水増し部数がもはや維持できない量に達しているのは間違いなさそうである。 「現場で働いていればわかりますが、新聞の部数を増やすのは、もはや限界に来ています」と言うのは、先の全国紙の販売店主である。

「新聞離れとオートロックのマンションが増えたこともあって、今では400軒営業に回って、会話をしてもらえるのが4~5軒。 そのうち契約が成立するのが1軒あれば良い方で、解約はそれを遥かに上回る。 しかし本社は、契約を取れ、取ればかり。それが出来ないと、“紙を切るときはクビを切るときだ”など、脅し文句を浴びせられます」

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http://www.dailyshincho.jp/article/2016/05020400/?all=1


新聞は、もう不要!?