
厳しい表情で報道番組の出演に臨む民主党の海江田万里代表=14日午後、東京・永田町の党本部(川口良介撮影)(写真:産経新聞)
■見えぬ民主再生ビジョン
民主党は、現職代表である海江田万里氏が落選し、長年党の「顔」を務めた菅直人元首相が2年前の前回衆院選に続き選挙区で敗退した。選挙戦を通じて最も露出度の高かった党代表や、知名度の高い元首相が有権者に「ノー」を突きつけられたのだ。これまでの党のあり方や方向性について、国民の多くが根本的な疑念を抱いていることは明らかだ。
野党の枠組みは今後、流動化することが予想されるが、このままでは民主党がその主導権を握ることも難しいのは間違いない。
◆2年間 何を…
「民主党もしっかり議席を伸ばしている。これによって野党の中心として自民党政権に対峙(たいじ)していかなければならない」
海江田氏は14日夜のNHK番組でこう述べていたが、自身が落選したのではその任を果たせない。前日の街頭演説でも強気で次のように強調していたが、それもむなしい。
「民主党は選挙をへてフェニックス、不死鳥になって、もう一回国民の期待をしっかり受け止めて、政権を奪取する政党にならないといけない」
今回の選挙結果を見ても、有権者にとって民主党政権の3年3カ月の失政の記憶がまだ新しいのは明らかだ。代表が交代しても、党再生へのビジョンは五里霧中だといえる。
そもそも民主党は下野後の2年間、いったい何をしていたのか。安倍晋三首相は14日夜、フジテレビの番組で今回の野党の準備不足についてこう指摘した。
「自民党は平成21年の衆院選で惨敗したときも、次の日からその次の選挙に向けて準備をスタートした」
11月30日のフジテレビ「新報道2001」では、首相との間で衆院解散・総選挙について民主党の現状を象徴するこんなやりとりがあった。
海江田氏「民主党と相談してもらいたい、事前に。全く相談がなかった」
首相「申し訳ないが、民主党といちいち相談して決めることではない」
あきれた表情の首相に一蹴された海江田氏の様子は、野党第一党の代表としての覚悟のなさ、態勢の未整備を表していた。
一方で、菅氏は12月12日付の自身のブログにおどろおどろしくこう記した。
「自民党が圧勝すれば、国会がまともな議論がないまま政府の提案を認める『安倍大政翼賛会』になってしまう。つまり、国会が死んでしまう」
◆「国会の死」ソッポ
扇情的な「国会の死」という表現まで用いて支持を呼びかけたが、有権者の賛同は広がらなかった。「政治の本質は野良犬のケンカ」を持論とする菅氏らしく、街頭演説では安倍首相をヒトラー呼ばわりしてはったりをきかせたが、効果は薄かったようだ。
民主党は、海江田氏落選を奇貨として新しい姿に生まれ変わる必要がある。(阿比留瑠比)
海江田氏、比例も復活できなかったようです。菅氏はゾンビでした。民主の敗北は予想通りでしたね。