8強フランスに勢い 21歳ポグバが決勝ゴール、若手が台頭
目の前にふわりと落ちてきたボールを頭で合わせるだけだった。後半34分、均衡を破ったのはフランスのMFポグバ。「こんな重要な試合でゴールを決めてチームをベスト8に導けた。人生で最高の瞬間だ」。21歳の新星が声を弾ませた。
たどってきた足跡を見れば、彼のスケールの大きさが分かる。16歳で親元を離れ、マンチェスター・ユナイテッドの育成組織で英才教育を受けた。昨夏のU-20(20歳以下)ワールドカップではフランスを初優勝に導き、自身は最優秀選手に。マンチェスターUでは輝けなかったが、移籍したユベントスでは押しも押されもせぬ主力だ。
191センチの長身から繰り出す大きなストライドは迫力満点。独特のモヒカンへアには、イタリア代表のバロテリ(ACミラン)と間違えられないよう左右に2本ずつの黄色いラインが入っている。自国が初優勝を飾った1998年フランス大会当時、5歳だった少年はブラジルとの決勝を目に焼き付けたそうで、「僕らは相手がどこであろうとも恐れはしない。ブラジルとまた対戦できれば素晴らしいね」と不敵に笑う。
この試合、膠着した展開を変えたのも23歳の新鋭グリーズマンだった。後半17分に投入されるとスピードのあるパス、ドリブルから好機を何度も演出、フランスに流れを引き寄せた。「このチームは強い。今は大きな自信がある」とGKロリス。若手の台頭で2大会ぶりの準々決勝進出。その勢いは一戦ごとに増している