ピアニスト、アンドレイ・ガブリロフの2000年代前半に演奏されたとされるリサイタルの中からショパンバラード第4番を聞いた。ショパン晩年の傑作の一つに数えられ、難解な解釈の曲として知られている。過去に数々の同曲の演奏を聴いているが、それもイマイチ漠然とした解釈で、ウラディーミル・アシュケナージの演奏しか受け入れることができなかった。
今日聞いたガブリロフの演奏で、この曲はフレデリック・ショパンの、ジョルジュ・サンドとの情事が終焉に向かう、そして肺病で人生の幕を閉じる、彼の抒情詩であることが手に取るようにわかった。ショパンの内なる想いが、ガブリロフの演奏によって明確化され、最後には“なげやり”になったショパンの心のぶつけようが、その演奏に現れていた。
自身の演奏技術の限界に挑戦しつつ、作曲家の意図に迫った、素晴らしくかつ凄まじい演奏であった。間違いなくガブリロフは、巨匠の道を歩むピアニストであることがよく理解できた。
魂の救いに準ずるレベルの感動を覚えた朝で、その満足感は一日中、いやずっと続きそうだ。