大正時代。家にあっては父に従い、嫁しては夫に従い、夫の死後は子供に従うという三従が女性の道だと考えられ、男尊女卑の風潮が色濃くある中、そんな世の中に反旗を翻す女性たちが現れ社会に異を唱え始めた。福岡の片田舎で育った伊藤野枝（吉高由里子）は、貧しい家を支えるために押し付けられた結婚を蹴って上京したところから始まる。福岡の片田舎とありますが今宿といって博多っ子なら夏休みの海水浴に行った記憶があるでしょう。生の松原を過ぎて唐津に向かう小さな漁村ですね。今から１００年前に自由を求めて闘った人が私の故郷にいたということも映画を観るまで知りませんでした。伊藤野枝はダダイストの辻潤（稲垣

吾郎）の門下生となり文学を熱く論じる。辻は女性解放の第一人者のような振る舞いだがこの出会いは私にも先が見えてしまうのです（笑）そんなとき平塚らいてう（松下奈緒）の“元始、女性は太陽であった”にぐいぐい惹き込まれていった。無政府主義者・大杉栄（永山瑛太）に傾倒していきついには自然主義で彼の妻とも同じ家庭を共有することになる。この時代にありのままに生きるのは大変だったかもしれない。いやむしろ現在の方が結婚制度や不倫などと厳しくバッシングを受けるほど社会のシステムは窮屈かもしれない。フランスから大杉が戻ってきてみんなしてダンスに興じるシーンがこの映画のハイライトでしょう。原作や映画

のモチーフは素晴らしいのでしょうが何せTVドラマのダイジェスト版をサラ～っと流しているように映画では起伏が足りないように思います。そして関東大震災ちょうど同じころを扱った「福田村事件」ほど強烈に観客に問うような脚本ではないのが残念な気がします。ひさしぶりに吉高ちゃんを見ましたが最近ちょっとばかりふっくらとしてますね（笑）伊藤野枝になりきり演技ははい素晴らしかったですが映画の起伏が乏しいような気がしてあのラストであるならばもっと途中を熱くしてほしかったかな？　　らいてうらによる女流文学集団・青鞜社に参加。青鞜社は野枝が中心になり婦人解放を唱えていく。１００年前野枝の時代と今はあまり変わっていない気がするがそれとも・・・・（☆３．６０）

『風よ あらしよ 劇場版』 元始、女性は太陽だった

『風よあらしよ劇場版』元始、女性は太陽だった