平成22年度改正で「統括会社」概念を導入し、株式等の保有を主たる事業とする特定外国子会社の範囲から「統括会社」を除外することになった。
持株会社を純粋持株会社と、事業持株会社に区分する場合、大抵の場合、「株の持合」「銀行の系列化」「大企業の系列化」等の経営が普通のことになっていた日本では、外国子会社が複数の事業を営むことは普通であり、株式等の保有が主たる事業であるかどうかの判定を巡って確立した基準が明文化されていないため、裁判で争われ、収入金額、使用人の数、固定施設の状況等を総合的に勘案すべきであるという裁判例がある(東京地判平成20年8月28日判時2023号13頁)。
持株会社や統括会社等の「中間持株会社」を誘致するため、EUでは各種の粗税誘因措置が一般法に埋め込まれている。OECDの「有害な税の競争」プロジェクトやEUのプリマローロ報告書等の「有害税制」プロジェクト等を通じて各国の租税優遇税制はこれを排除するよう国際的な圧力を受けているので、ルクセンブルクの有名な1929年持株会社税制等特別法による優遇措置は姿を消し、一般法の規定により持株会社誘致や研究開発促進等の政策目的を実現できる洗練された税制に変遷してきた。
EUやEU加盟国が域内への又は域内での持株会社の誘致のために減免を講じているとき、日本企業が設立したEU地域統括会社に日本のCFCルールを適用して日本が合算課税をする場合、日本とEU又はEU加盟国との課税紛争は免れないであろう。