研究開発租税誘因措置について、研究開発税額控除は所得控除、加速度減価償却等と異なり、分数式の分母の計算には影響を及ぼさず、分子のみをゼロ化する可能性がある。研究開発税額控除については、分子は研究開発税額控除後の外国法人税とするのか、研究開発税額控除前の外国法人税とするのかを明確にする必要がある。
政令に定める外国関係会社に該当するか否かの判定のための分数式では、パテント・ボックス制度のうち、①知財税率による制度は分子に影響し、②知財所得控除による制度は分母に影響する。知財所得控除による租税誘因措置の場合、分母の構成要素である「本店所在地国法令に基づく所得」として特別な所得控除を「本店所在地国法令で非課税とされる所得」としないのか、あるいはパテント・ボックス制度における知財所得控除を「本店所在地国法令で非課税とされる所得」として加算すべきものとすべきなのかを明確にする必要がある。
さらに、ベルギーの「想定利子控除」、これは「負債バイアス」を解消し、FDIを促進し、課税ベースの縮小を可能にするため、ベルギー法人及びベルギー支店を有する外国法人の課税所得の計算上、調整株式資本(株式資本、留保収益、再評価益、資本補助金及び株式プレミアムを含む)に10年国債の平均年利を乗じた擬制利子の控除を認める制度であるが、これを「本店所在地国法令に基づく所得」として「本店所在地国法令で非課税とされる所得」として加算すべきものとすべきかを明確にする必要がある。