金木犀に誘われて。
シンガポールから帰国し、飛行機を降りて吸った東京の空気はなんとも言えない甘い香りがした。
あっ、秋の香り。
娘も何だかいい香りがすると思ったみたいで。
次の日、香りの元を探しに行った。
道中、これはキンモクセイというお花の香りなんだよ、と話しつつ。
娘は道すがら咲く花々を指さしては「これかな?あれかな?」と楽しそうにしていた。
娘に見せると拍子抜けしたような顔をした。
もっと大きく、華美な花だと思っていたみたい。
これだけ素敵な香りがするからね、こんな小さな、造詣的にシンプルなお花だとは思わなかったらしい。
やがて娘は「こんな小さなお花なのに、こんないい香りがするのね」と呟いていた。
キンモクセイの類いまれなる存在感を彼女なりに胸に刻んだみたい。
先週訪れた京都もキンモクセイの花盛り。
娘は香りを頼りにキンモクセイの花を探し当てて、嬉しそうにしていた。
季節を愉しむ技を、少しずつ身につける。
それもまた成長なのね。
