DNA2~どうして奈良漬けは荒いのに暖かい~第二部

夜が来ました。
歩いて迎えに行きました。
もう何周したかわかりません。
嘘です。八周です。
人の数は更に増え、押し合いへし合いです。
でももう僕は嘔吐しません。自分を、そして人を知ったからなのです。
もうシャツは臭いませんが乾いてパキパキになっててそこはやっぱり気持ち悪かったです。
僕は(帰ったら真っ先にシャツをゴミ箱に投げ入れようかなぁ)と思いました。
そしてそんな自分に気づき、(出世する大人は使えない人を迷わず切り捨てると聞いたぞ。では自分で嘔吐したせいで黄色でパキパキになってしまったシャツをすぐに捨てようとしている僕はそんな大人になってしまったのかもしれない。いやそうに違いない)と思って悲しくも切なくもあり、ちょっとだけ安心しました。
とにかく足が痛いです。どうしてこんなに歩いたのだろう、そして、どうしてこんなに歩けたのだろうと不思議でした。
第二部「冷水号泣伝説遍」
完