夫はちょうど2年前、3月に入ってすぐ渡米した。妻は会社の規定により、3ヶ月後に渡米するよう指示があった。東京の社宅でそのまま3ヶ月過ごすこともできたが、何となく実家に帰ることを選択した。
実家の生活は実に15年振りであった。少し不安もあった。というもの母は几帳面で少し神経質な面もある。その母との二人暮らしに耐えれるのかと考えると、安易に実家に帰る選択をしたことを少し後悔した。
とは言え、母との3ヶ月はスタートした。
母は毎朝5時に起きて、玄関と庭の掃き掃除からスタートする。そして洗濯やゴミ捨て、朝食準備に取り掛かる。さらにその後、ウォーキングに出かける。今現在、自分がスケージュール化しているように、母の1日もみっちりスケージュール化されていた血は争えない…
だから自分はそこに割り込むことになる。実家だし親だし気を使わなくてよい、という考えもある。でも、そこには母が築き上げてきた暮らしがある。その暮らしを保つことこそ、円満の秘訣になるなのかなと思った。
自分はあくまでも実家にお邪魔すると考えるようにした。そしてどうしたらお互い気持ちよく暮らせるか、その方法を考えた。
①最初に3ヶ月分の生活費を渡す
→親しき中にも礼儀あり。結局渡米直前に返された。
②食事の支度を全て引き受ける
→誰かの作るご飯は美味しい説。
③不用品を処分する
→1人ではなかなかできない。
④障子の張り替えをする
→これも1人ではなかなかできない。
そして、全て実行。特に、不用品の処分には1ヶ月ほどかかった。衣類や雑貨や家具などの不用品を集めては、ごみ処理センターに持っていくという作業を、母も巻き込んで何度も繰り返した。イベントみたいでなんとなく楽しかった。
もちろん、この3ヶ月の間ケンカがなかったわけではない。でもそれ以上に楽しい3ヶ月だった。今後の人生で、母と3ヶ月も住むことは、もうないと思う。そう思うとこの3ヶ月はとても貴重な思い出になった。
出発の日の朝、タクシーの運転手さんに「よろしくお願いします」と頭を下げた、そんな母の姿が今も忘れられない。
↓出発の数日前に撮った実家のアジサイ