「そろそろ一旦帰ろうか」夫があまりに急にそう言ってきたから、「え?どこに?」とあまりに嘘っぽくとぼけてしまった
帰国しないことが当たり前になりすぎて、正直戸惑った。この感情は結婚する話をされた時と同じような種類の感情な気がした。嬉しいんだけど、いや、嬉しいんだけど、何かが引っかかるような…。
私たちのアメリカ生活は、コロナと共にスタートした。最初の頃は、コロナだからしんどいのか、アメリカだからしんどいのか分からなかった。でもアメリカだからしんどかったんだなと、今なら分かる。
コロナウイルスに対するアメリカの対応と日本の対応は全く違っていた。アメリカでもそれなりに制約はあったけど、日本のニュースから伝わる日本のコロナウイルス対策の徹底ぶりは、遥かに厳しいものだった。「黙食」なんて言葉を聞いたときは、なんとなく罪悪感もわいた。
だから日本に帰りたいけど、帰るのが怖い。
今の日本の状態が分からないから、デリカシーのない行動をとってしまわないかとか、また家族や友達に迷惑になるのではないかとか、いろんなことを考えてしまう…。
いや、それももちろんあるけど。家族や友達に日本に帰るからと伝えた時の反応を見るのが怖い。多分これこそが帰国することをためらう理由なんだと思う。
あれだけ帰国したかったのに。この日をずっと心待ちにしていたのに。それなのに急いで帰らなくても大丈夫だと思ってしまった。
今の自分にとっての居場所は、他でもなく、ここアメリカなんだなと実感させられた。それは嬉しいような寂しいような、何とも複雑な気持ちだった。
↓建物の屋上から撮ってみた。季節ごとに撮ってみたい。